2010年07月26日

協業

リハイントロダクション10回目。
今回は協業について。

『…チームワークの基礎となるのは、分立的分業ではなく各職種の私心を捨てた患者本位の協業である。これまで分業と言うと、いわば相互不可侵の「聖域」を定めて、他の職種への内政干渉はしないが、自分たちの領域への干渉も許さないといった傾向がなかったであろうか。…(中略)…。それは結局バラバラな働きかけを相互に連絡も調整もなくしていくことになり、患者はあちこちに振り回され、誰を信じていいかわからない状態…。自分たち本位でなく、患者本位で考えれば、どうしても協業、すなわちチーム全体で共通の目標・基本方針・プログラムを十分に議論をたたかわせたうえで決め、そのうえで、それをもっとも効果的に行うためにきめ細かい役割分担をしていくことが必要になる。…ADL・ASLをはじめとするリハビリテーションの領域のほとんどの仕事は多くの職種が力を合わせて取り組まなければならないほど複雑で難しいものばかりである。これは皆で同じことをやるということではない。一見同じ事をやっているように見えても、角度を変えて見ればやっていることはまったく違い、それぞれの職種の専門性・独自性を活かしたユニークな貢献をしているのである』
(引用文献:科学としてのリハビリテーション医学、上田敏)

長い引用になってしまいました。
文献にも出ていましたが、
一番協業しなくてはいけないのはADLです。
カンファレンスはもちろんのこと、
病棟での細かなコミュニケーションにより情報をチームとして共有し、
統一されたアプローチをしなければなりません。
しかしその統一されたアプローチでも職種によって色がでます、
例えば食事を例に出しましょう。
PTは姿勢を重視した評価・アプローチ、
OTは上肢の操作+高次脳機能面・環境面の評価・アプローチ、
STは嚥下障害に対しての評価・アプローチ。
介護職は病棟での食事の様子をリハ技師に伝えたり、
リハで指示された介助・環境設定を行い、しているADLに結びつけます。
………。
このように同じ食事動作に関わるアプローチでも視点は大きく違います。

多職種が連携を取り合う事によって
統一された方針のもとに協業を行う、
当院もまだ不十分な点はあるとは思いますが、
この事を常に意識して動いています。

次回のリハイントロダクションは、
「できるADL」「しているADL」「するADL」です。

posted by リハ技士 at 19:37| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | リハイントロダクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月25日

国際生活機能分類

リハイントロダクション、今回は9回目。
今回は国際生活機能分類。

『今回は国際生活機能分類(以下「ICF」という。)とは、人間のあらゆる健康状態に関係した生活機能状態から、その人をとりまく社会制度や社会資源までをアルファベットと数字を組み合わせた方式で分類し、記述・表現をしようとするものである。』
『ICF分類の目的を一言でいうと、健康状況と健康関連状況を記述するための、統一的で標準的な言語と概念的枠組みを提供することである。』
(引用文献:国際生活機能分類 中央法規)

このICFは患者さんを評価するときに欠かせないものとなっています。
現在のリハビリテーション実施計画書は、
このICFを元に作成しています。
このICFというツールがあることによって、
患者さんの全体像を把握することができるのです。

ではこのICFはどのように構成されているでしょうか。
心身機能・身体構造・活動と参加・環境因子・個人因子
という構成です。
以前(ICIDH:国際障害分類)は環境因子・個人因子がありませんでした、
なかったからといって臨床に携わるリハスタッフが行っていなかったということではありません、
しかしその対応が弱かったからこそ、
今回の環境因子と個人因子が出てきたことは間違いないでしょう。
バリアフリーなどの環境因子を改善したことで、
障害を持つ人の社会参加につながっている事例は特に最近多く聞くようになりました。

また国際障害分類から国際生活機能分類へと名前が変更になりました。
負の側面だけの評価だけでなく、
正の側面を評価することによって、
より患者さんの全体像を明確にとらえることができてきていると感じます。


次回のリハイントロダクションは、
協業についてです。
posted by リハ技士 at 19:29| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | リハイントロダクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月23日

ニード

リハイントロダクション、今回で8回目。
今回はニードについて。
『リハビリテーションでは「患者のニード」ということが、時としてやや安易に口にされる。それは多くの場合、リハビリテーションの理念は患者のニードを全的に満たすことであるという(正しい)前提に立って、「この患者のニードはこれこれだ、したがって今これをなすべきだ」という形の発言である。しかしここで問題なのは、その人が患者のニードだと思っているものが本当にその患者のニードなのか、それとも本当にその患者のニードなのか……』
(引用文献:リハビリテーションを考える 上田敏)

リハビリテーションを進めていくうえで患者の要求を聞くことは当然必要です。
そのような思いがなかったら、
患者さんとの信頼関係は築くことは難しいでしょう。
しかし解決できない問題を患者さんの要求として、
ただ漫然と聞き入れることはできません。
患者さんは医学的には素人です、
その問題が解決可能か不可能かはわかりません。
また障害をもったことによって冷静に判断できていないかもしれません。
前回挙げた目標指向的アプローチのように
チーム全体で機能・活動・参加・環境・個人因子などを冷静に客観的に分析し、
当然本人の要求もくみ取りながら
どのような方針を目指していくかを決めていく必要があります。
(もちろん、その方針は本人と話し合い、了解を得るようにします)
チームとして本当に患者のニードは何なのか、
クールな頭脳とホットなマインドで把握する必要があるのです。

次回のリハイントロダクションは、
ICFについてお話します。
posted by リハ技士 at 08:46| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | リハイントロダクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月22日

障害受容

リハイントロダクション、今回は7回目。
今回のテーマは障害受容について。

「障害の受容とはあきらめでも居直りでもなく、障害に対する価値観(感)の転換であり、障害をもつことが自己の全体としての人間的価値を低下させるものではないことの認識と体得をつうじて、恥の意識や劣等感を克服し、積極的な生活態度に転ずることである」
(引用文献:リハビリテーションを考える、上田敏)

この障害受容の価値転換の考えは、
そのようにできたら素晴らしい事だ、
いや、そのようにしなければいけないと思っていた時代がありました。
趣味的活動の新たな獲得や、
役割の転換等を行い、
上記の文献にある新たな生活を本人と話し合いながら支援していくというものです。

しかしこの価値転換の考え方は、
現在批判にさらされています。

経験的にもそうですが、
価値転換を図ることは容易なことではありません。
またこのアプローチは強制してできる事ではありません、
もし強制されて本人が了解したとしても、
それはただの苦痛になってしまいます。
(ただ完全に価値転換説を否定しているわけではありません)

その人を変えるということよりも、
その人の心を支援するシステムを作り上げる必要があると思います。
その代表的なものとして、
ピアサポートがあります。
簡単に説明すると同じような立場にある人のサポートというものです。
(病院等にある友の会は代表的なものでしょう)

次回のリハイントロダクションは、
ニードについて説明します。
posted by リハ技士 at 08:57| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | リハイントロダクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月19日

目標指向的アプローチ

リハイントロダクション、6回目。

『目標指向的アプローチ(…)とは、リハビリテーションの究極の目的は個々の患者・障害者における最大限のQOLの実現であるとの基本的な理念、またそのような最高のQOLは以前の生活への復帰によってよりむしろ「新しい人生の創造」によってよりよく実現できるという考え方に立って、「どのような新しい人生を創るのか」という目標を明確にして、それに向けてリハビリテーションを進めていくという考え方…。』
(引用文献:科学としてのリハビリテーション医学、上田敏)

この目標指向的アプローチを進めるうえで
「予後」というポイントは大切です、
予後とは簡単に説明すると
病気やけがで障害を受けた機能がどの程度まで回復していくか、
というものです。
現在のリハビリテーション学会の演題でも予後がテーマのものが非常に多いと聞きます。
しかし家庭(家屋)環境や個人因子等の情報は
とても重要で予後だけでは目標は設定されません。

また前回挙げたチームワークも重要です。
各職種がバラバラの方針で行っていては、
治療・リハは非効率になってしまい回復も遅れてしまいます。
各職種が協力しながら(協業)その方針に向けてリハを行う必要があります。

そして最終的に全人間的復権を目指していくのです。

次回のリハイントロダクションは、
障害受容についてです。
posted by リハ技士 at 15:46| 山形 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | リハイントロダクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする