2011年05月12日

見えない障害、肝臓のリハビリテーション

クリニカルリハビリテーション 2011年4月号
特集「見えない障害、肝臓のリハビリテーション」

内部疾患のリハビリテーションは、
私にとってはまったく不案内の分野です。
またこの肝臓のリハビリテーションの特集は、
どのリハビリテーション雑誌の特集において初めてのことです。
何もかもが新鮮でした。

さて6つの文献が出されていますが、
一番基本的な事が書かれている冒頭の論文を紹介しましょう。
(多くを引用しています、ご了承ください)

「肝機能障害患者における障害とリハビリテーションの考え方」
上月正博

まず肝機能障害の基礎疾患にどういうものがあるでしょうか
ウイルス性肝炎
(B型肝炎ウイルス持続感染者130〜150万人、C型ウイルス持続感染者150〜200万人)
自己免疫性肝炎
原発性胆汁性肝硬変
アルコール性肝障害
単純脂肪肝臓・非アルコール性脂肪性肝疾患(NASH):総称NAFLD→増加
薬剤性肝疾患

肝臓機能障害の身体障害認定基準は?
肝臓の機能障害の重症度分類として国際的に認知されているChild-Pugh分類、
この分類のスコア10点以上の状態に一定期間あって回復困難なものが相当します。

肝機能障害患者の特徴と障害
脱力感、掻痒感、筋肉痛、体重減少、腹水による腹部の膨満感、浮腫、
消化管の静脈瘤の破綻による吐下血、脳症による意識障害・昏睡、
食欲不振・悪心・嘔吐等の症状

肝機能障害患者のADLと運動耐用能
上記の症状・障害があるために、日常生活が大きく制限させられます。
肝硬変患者の6分間歩行と生命予後には有意差がありますが、
Child-Pugh分類のスコアと死亡では単変量解析では相関は認められたものの、
多変量解析では相関は認められませんでした。

肝臓リハビリテーションとは?
肝炎や肝硬変の治療においても必要以上の安静を解除し、
社会復帰に向けて少しずつ安全に運動の再開を図ろうという考えに変化しています、
またNAFLDでは運動療法・食事療法は治療の基本となっています。
他の内部障害リハと同様、
包括的リハとして運動療法、教育、食事療法、精神的ケア等を行う新たなリハ領域なのです。

まだまだこれからの肝臓のリハビリテーション、
おそらくこれから様々な試みが行われ、
発表や、このような特集が組まれることがあるでしょう。

そして大きく対象を広げるリハビリテーション、
命の質、生活の質、社会の質というQOLをたかめるという視点は、
どの疾患においても大きく当てはまります。

今度はどのような新たな疾患のリハビリテーションが特集されるでしょうか?
posted by リハ技士 at 09:36| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 ジャーナル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月25日

理学療法ジャーナル3月号の紹介

理学療法ジャーナル3月号の紹介。
特集は「脳卒中片麻痺患者の装具と運動療法」


「脳卒中片麻痺に用いる装具の特徴と運動療法実施上の注意点 義肢装具士からみたポイント」という論文。
特にアライメントを整うような装具設計が強調して述べられていました。
床反力というキーワードも何回も出ていました。

「脳卒中片麻痺の積極的装具療法の進め方」という論文。
重度脳卒中片麻痺患者における長下肢装具を用いた積極的装具療法が述べられています。
具体的な訓練の仕方が書かれていました。

「長下肢装具による脳卒中片麻痺の運動療法の取り組み」という論文。
大腿部脱着式長下肢装具を使った立位・歩行練習の内容とその効果が述べられています。
(当院でも使用しています)

「Gait Solution付短下肢装具による脳卒中片麻痺の運動療法とその効果」という論文、
Gait Solutionについての説明とそのトレーニングの仕方が書かれています。
(ちなみに私の外来の患者さんがこの装具を装着しています、
当院のPT室でも注目目されている装具です)

「TAPSによる脳卒中片麻痺の装具療法とその効果」という論文、
TAPSについての説明と回復過程におけるTAPSの適応と調整の要点が述べられています。
(当院にもTAPSはありますが、訓練場面での使用がほとんどのようです)

以上。
posted by リハ技士 at 20:06| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 ジャーナル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月21日

メディカルリハ3月号の紹介

本当は様々なジャーナルをまとめて報告したかったのですが,
2冊しか探せなかったので,
今日はメディカルリハの3月号のみを紹介しましょう.

特集は「半側空間無視のリハビリテーション」

「半側空間無視の発症機序と責任病巣」という論文.
単に注意が右に向かうという事ではなく,
感覚的側面と運動的側面を評価することの重要性が述べられていました.

「半側空間無視に関連する症候」という論文.
半側空間無視の評価だけでなく,
その合併症とも呼ばれる様々な症状を総合的に評価する事の大切さが述べられていました.

「半側空間無視の評価」という論文.
様々な半側空間無視の検査が書かれていました.
BITも紹介されていました(当院でも使用しています)

「半側空間無視患者のADL評価と予後」という論文.
半側空間無視患者の机上検査結果とADL無視状況では乖離することがあります.
ADLに直接結びつく評価法,CBSが紹介されていました.(これは収穫!!)

「半側空間無視患者に対するリハビリテーション処方」という論文は省略.

「半側空間無視患者に対する理学療法」という論文.
半側空間無視が姿勢や動作にどのような影響を与えるのかという評価が大切で,
アプローチもそれによって言語指示の与え方・視覚指示の与え方・
その他どのような刺激を与えると良いのかが変わってきます.
1つのアプローチの例としてプリズム眼鏡が挙げられていました.

「半側空間無視患者に対する作業療法」という論文.
ここでもBITとCBSの評価が挙げられていました.
具体的な作業療法アプローチが挙げられていましたが,
基本は段階付られた左右の空間認識能力を問う活動(作業)が出ていたかと思われます.
細かな評価に応じた段階付られた作業アプローチの重要性が何度も述べられていました.

「半側空間無視患者の社会復帰」という論文.
事例が出されていて,私が注目したのは,
家族に対しての徹底的な指導というところでした.

「脳機能画像からみた半側空間無視」という論文は省略.

「新しいリハビリテーションアプローチ」という論文.
プリズム適応療法・反復経頭蓋磁気刺激・経頭蓋直流電気刺激の報告がありました.

以上.
posted by リハ技士 at 19:59| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 ジャーナル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月14日

2月号の作業療法ジャーナル

3月中に3月号のリハジャーナルを紹介できませんでした.
来週中に紹介しましょう.
そして以前の2月のリハジャーナル紹介で
作業療法ジャーナルが行方不明で紹介できませんでした.
しかし見つかりました.
良かったーー.

作業療法ジャーナル
特集 作業療法における「連携」を考える

1,4,5番目の論文だけ簡単にまとめてみました.
(5番目は引用のみ)

一つ目は
医療・介護連携が求められる背景とは,という論文.
後期高齢者がこれから更に増える事,
その後期高齢者は
救急ニーズの増大や高い再発リスク,
そして機能低下の多面性が特徴的です.
社会保障費が増大することによって,
現在,医療・介護費用の適正化が推進されています.
その対策として医療・介護の効率化のために
機能分化と連携の推進が図られています.
リハ職は病院勤務が多く,
地域を経験しないスタッフが多いです.
地域に目を向けて,
連携強化を図る対応が重要となってきます.
リハ職は後期高齢者の特徴を総合的に評価し,
リハ職としての専門的な能力を使う事によって,
後期高齢者の自立支援に効果があることを
ケアマネージャに伝える必要があります.


次の論文は精神科領域の連携,
3つ目の論文は兵庫県での連携の取り組みが紹介されていました.

4つ目の論文,
在宅との連携を実践から考える,という題名.
入院中担当OTと在宅OTで話し合う会議(連携症例検討会),
そこで入院中の訓練が
退院してからの生活をきちんと想定できなかった事が
多々あったということがわかりました.
また在宅セラピストが病院リハ室まで足を運んだり,
逆に病院セラピストが退院後,在宅セラピストに同行したりして連携を深めていました.

5つ目の論文,
作業をつなげる,という論文.
これはただ一文を引用するだけにしましょう.
「したい生活やしたい作業を聞き取り,出来そうなことを提案・確認し,達成できるよう,直接的・間接的に支援するという,まさにその人の生活や作業を総合的に支援することで,真にその人(患者・利用者)を中心にした支援関係者間の連携・協力が機能するものと考える.そのためには,その人にとっての意味のある”作業”に焦点を当てたこの包括マネジメントが有効であるといえる.」

最後の5つ目の論文の引用された部分に,私的にはしびれました.

今回は,ここまで.
posted by リハ技士 at 20:05| 山形 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 ジャーナル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月01日

2011年2月号リハ関連雑誌紹介

リハ関連雑誌の2月号の紹介です。
作業療法ジャーナルが見つからなかったので、
それだけは後日報告しましょう。

(基本的に紹介するのは私が興味を持ったところだけなので、
かなり紹介の内容が偏ることはお許しください、
基本的に斜め読みで、
興味持ったところのみ集中読みという方法で読んでいます、
前回よりさらに簡単に書いてしまったのはすみません…。)

総合リハビリテーションの特集は、
「転倒予防とリハビリテーション」。
転倒は当院でも医療安全では中心一番多い事故・ニアミス内容です。
特に「回復期リハビリテーション病棟における取り組み」は
非常に興味深いものでした。
患者層が違うと思われるので、
一概にそのまま参考にはできないものの、
ヒントとなるものはあったかのように思います。

メディカルリハビリテーションの特集は、
「足部疾患のリハビリテーション」
私がOTなのであまり分からない分野ですが、
外反母趾の部分は興味があって読んでしまいました。
私が3月に1回、指導をしている養護老人ホームには外反母趾が非常に多かったのです。
特に母趾外転運動については詳しく書かれ、参考になりました。

クリニカルリハビリテーションの特集は、
「摂食機能療法のいま 標準化を目指し実態に学ぶ」
その中で分かりやすかったのは、
「誤嚥性肺炎後の摂食機能療法」
この誤嚥性肺炎は絶対覚えてほしいキーワードです。

理学療法ジャーナルの特集は、
「通所サービスにおける理学療法」
通所リハのPTであればこの特集は当然興味深い内容。
通所リハのPTの役割・地域連携・チームアプローチについてなど
幅広い報告があります。

以上。
(それにしても作業療法ジャーナルはどこにexclamation&question)
posted by リハ技士 at 18:57| 山形 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 本の紹介 ジャーナル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする