2017年12月22日

慢性病を根本から治す

新書の紹介

慢性病を根本から治す 「機能性医学」の考え方

斎藤糧三

光文社新書


この本の概要をこの新書のカバーに書かれていた内容紹介から引用します。

【「機能性医学」とは、糖尿病や高血圧といった発症メカニズムが複雑な慢性的な生活習慣病を、できるだけ治療薬に頼ることなく、その根本的な原因に立ち返って完治を目指そうとする次世代の新しい医療を指す。

私たちが慢性疾患に悩むのはなぜか。投薬中心の治療ではどうして治らないのか。現代の医学と医療が抱えている課題は何か。

アメリカで機能性医学を学び、日本で初めて認定医の資格を取得した医師が、機能性医学の基本的な考え方から慢性疾患の隠れた原因、

そして治療薬に頼らないライフスタイルの改善方法までを詳しく紹介する、本邦初の本格的入門書。】


機能性医学とは、一言でいうとどのような医学でしょうか。

それは治療薬にこだわらないで、慢性疾患のコアの問題に立ち返って完治を目指そうとする医療のことを言います。

PART1では代表的な8つの慢性疾患を取り上げて、

機能性医学の視点から何が問題で、どのように対処していけばいいのかが書かれていました。

例えば動脈硬化。

この動脈硬化に強く関係あるものとして、ホモシステインの濃度が関係あると述べています。

ホモシステインの濃度が高くなると、自己酸化して活性酵素が増えていきます。

その活性酵素がコレステロールを酸化させて、血管壁に蓄積させる、というのです。

このホモシステインが増える理由にビタミンB群の不足があり、

それを摂取すればホモシステインが別のものに変換(システイン)に転換させるというものです。

ビタミンB群は8種類ありますが、特にビタミンB9B6B12になります。

他にも鉄分やビタミンCなども補助的に必要ということからもわかるように、

バランスのよい食事を行っているかどうか、ということが問われてきます。


PART2では、

慢性疾患に対する機能性医学を理解するための7つのポイントが紹介されます。

@「防衛と修復」免疫と炎症について

A「消化と吸収」腸管の免疫反応と腸内環境について

B「解毒」肝臓について

C「コミュニケーション」ホルモンや神経伝達物質について

D「運搬」体内の循環システムについて

E「エネルギー」ミトコンドリアの機能について

F「組織構造安定性」筋肉や骨格について

なかなか中身は難しく、少なくとも素人向けの内容ではありませんでしたが、

細かく丁寧に説明がでていました。

とにかく慢性疾患が身体にどのような状況を引き起こしているかがわかるはずです。


PART3では、改善の対策として5つのポイントが紹介されています。

@栄養

Aストレスと対処力

B運動と活動

C睡眠と休息

D家族とソーシャルネット

特に@について、本書では詳しく書かれていました。


確かに慢性医療において、

本人の協力(食習慣の改善、運動習慣の改善など)がなければ、

その場その場の対処(薬など)をしても、結局は改善していきません。

そのような意味では、この本書の言っていることは正しいのでしょう。

ただしこのような生活習慣を様々な経済状態や環境によって、

変えられない人たちもいることも事実としてあると思います。

ゆえにこのような機能性医学は十分評価しつつも、

この医療を悪用し、現在の慢性疾患の医療の在り方を全て自己責任論で言ってくる人たちがいるのではないかと危惧します。


更にしかし………、

そもそも健康を害しないように食事の在り方や運動の在り方を地域で啓蒙していくことは

間違いなく必要です。

今後増えていく高齢者の健康寿命をできる限り伸ばすためにも必要でしょう。

posted by リハ技師 at 15:24| 山形 ☁| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月28日

発達障害のある人への就活成功バイブル

新書の紹介。

発達障害のある人への就活成功バイブル」

小宮善継

経営者新書


経営者新書なので、経営者視点での内容になっているかと思いきや、

やはりタイトル通り、当事者向けの内容になっていました。

(しかし当然経営者側が読んでも参考になるものが多い内容になっています)

また私たちリハ技士からみても参考になる内容になっていると思います。

内容的には、発達障害の職業支援に関わるサービスや法律などが、

コンパクトにわかりすい表現で記載されています。

(特に第34章がノウハウ的には参考になる部分でした)

特にこの本でよかったのは、単に発達障碍者に対してのテクニカルな対応を述べるだけでなく、

発達障がい者の可能性にまで、しっかりと著者の強い想いをこめて述べられているところです。


当院でも高次脳機能障がい者の就職支援は、いろいろ工夫しながら対応していますが、

リハ職の高次脳機能障害患者に対する視点という点でも参考になるものでした。

posted by リハ技師 at 18:36| 山形 🌁| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月25日

ルポ老人地獄

昨日に引き続いて新書の紹介。


ルポ老人地獄

朝日新聞経済部

文春新書


【男女混合で雑魚寝、汚物の処理もせずノロウイルスも蔓延…。「ひもつきケアマネ」に食い物にされ、都内から都外の施設に追いやられる。こんな老後に誰がしたのか?硬骨の本格的社会派ルポ!


とにかくこの本を読み進めると、老人にはなりたくない、と思ってしまう内容になっています。

この本の発行は201512月、

今から約2年前のものですが、

おそらくこの実態と現在ではおそらくほとんど変わっていないでしょう。

このような実態を明らかにしたのは、この本の素晴らしいところではありますが、

もっと工夫して対応しているところも1章ぐらいかけて報告してもらいたかった気はします。

しかしそうは言っても、

ところどころ頑張って対応している介護事業者も報告されています。

例えば介護職の確保が困難になっているという報告のなかで、

山形県鶴岡市の「山形虹の会」の取り組みが紹介されています。

その取り組みとは、介護職の奨学金制度です。

ブログ管理者も知っている「山形虹の会」の井田事務局長のコメントもでていたのでびっくりしました。


現在の介護の問題を把握したければ、この本は勉強にはなるでしょう。

posted by リハ技師 at 19:38| 山形 ☔| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月24日

発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ

久しぶりに新書の紹介。


「発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ」

山口真美

講談社BLUE BACKS


本の背表紙にこの本の内容紹介が記載されています、一部引用します。

【じつは、脳が発達する過程で、うまく視覚が形成されなかったりすると、

そのほかの感覚器の形成に影響が現れるというのです。

人より視力や聴力が極端によすぎるために同じものを見たり、聞いたりしていても

まったく違う世界として受け止めているかもしれない、

それが発達障害の素顔なのです。

自閉症、ADHD、ディスレクシア、ウィリアムズ症候群、アスペルガー症候群など、

感覚の特性としてとらえることで新しい治療と対応の可能性が見えてくる!

少しのあいだかれらの世界に寄り添ってみませんか。】


視覚形成から発達障害を論じる、という切り口が新鮮でした、

もっと砕いていうと、視覚形成がうまくいかなくなると、心の異常が起きてしまう…(ちょっとかみ砕きすぎて、正確でないかもしれません)、というもの。


私たちの高次脳機能といわれるもののなかで、

コンピューターでもできるもの(もしくはコンピューターのほうが上回っているもの)は結構あります

例えば、計算だったり、記憶的なものであったり…。

しかし、人間関係や社会関係を作るうえでの学習はコンピューターには、

少なくとも今のところ難しいのではないでしょうか。

他人の心を推し量ったりなど、複雑な推論が求められます。

また人は十人十色であり、1人の人がその関係に成功したからと言って、応用できるとは限りません。

つまりそれだけ相手の心を読む、というのはそれほど難しいのです。

自閉症の子どもも、相手の心が読めない、と言われています。

そして自閉症は第一次視覚野の発達に問題があるとされているのです。

(生まれつきからある脳の機能障害的なものだけではなく、

様々な環境からの刺激が脳の構造・機能を歪めてしまう例も本書では提示されていきます)


視覚野だけでなく、感覚の異常も報告されます。

例えば自閉症のひとの中には、聴覚過敏や視覚過敏なることによって、

感覚処理がうまくいかなくなる子どもたちも多い…。

最近の発達障害をテーマにした番組でも、感覚処理がうまくいかないことで、

人間関係や社会生活がうまくできない人たちを報告したものが多くなっています。

この本の中で、ブログ管理者が一番面白かったのは、

5章の「コミュニケーション能力は顔と視線から」というもの。


多少なりとも知識がないと、ハードルが高い本ではありますが、

ハードルを越えれば、「うーん、なるほど」と知的好奇心をくすぐられる内容になっているでしょう。

posted by リハ技師 at 18:15| 山形 ☔| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月31日

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病

新書の紹介。

「現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病」

岸本忠三/中嶋彰

講談社BLUEBACKS


この本の前に、

現代免疫物語

新・現代免疫物語をこの2人の著者は書いています。

ブログ管理者も現代免疫物語は読んだことがあります。

難解になりそうな部分はかなり工夫してわかりやすく表現されていて(BLUEBACKSにありがちな難解で専門的な文章は少なかったです)

比較的面白く読んだ本の1つでした。


今回の本は、その第3弾。

多少なりとも、免疫の基礎知識がないと、読むのにはかなり苦労するタイプの本になっています。

ブログ管理者は、前回の本の知識もあり、

本の最後の方はななめ読みをいつも通り駆使してしまいましたが、

その他は前回の本より新しく見つかった知見など、かなり知的好奇心がくすぐられました。


この本の中で気になったワードは、

樹状細胞

制御性T細胞

免疫チェックポイント分子、です。


まず樹状細胞から説明したいのですが、ごく簡単に免疫ででてくる他の細胞を紹介します。

マクロファージ→病原体がきたらすぐに攻撃してやっつけてくれます。でも完全にはやっつけてくれない場合もあり。(先制攻撃タイプ)

ヘルパーT細胞→マクロファージなどで攻撃したということを感知して、様々な免疫細胞の開始にゴーサインをだします(攻撃の司令塔)

B細胞→敵が強い場合は、B細胞は抗体というミサイルを作り出し、病原体に向かって撃ち始めます。

キラーT細胞→文字通りの殺戮部隊

そして樹状細胞、

マクロファージなどで断片になった病原体、それを捕まえ、

このような敵がきているよと、ヘルパーT細胞に伝える役目になっています。

そして今回の本では、

この免疫の機能をうまく使い、がんなどの治療に生かせたことが描かれています。

この樹状細胞を体外に取り出し培養して増やし、

患部から採取したがん細胞とお見合いをさせ、体内に戻す、というものでした。

このことによりヘルパーT細胞がそのがんにそった免疫細胞を賦活化しやすくなったのでした。


今度は制御性T細胞。

まず先ほど説明した細胞はうまくいけば、悪者をやっつけてもらい、

体の中は平和になるのですが、

時にその細胞たちが乱暴者になり、過度な対応をしてしまうことがあるそうです。

過度だけではなく、とばっちりで問題ないところにまで攻撃するなど、

平和でなくなる事態もあるのです。(その代表的な疾患が自己免疫疾患です)

このような事態も人間の仕組みは想定していて、

そのような乱暴者になったひとを「やめろ!!」といって制御する細胞が、

制御性T細胞となります。

つまり自己免疫疾患に関しては、この制御性T細胞がキーになるのです。


そして免疫チェックポイント分子。

ここからだんだんと専門的になってきて、

ブログ管理者なんとなくは理解ができたのですが、説明するレベルにはなっていません

(この免疫チェックポイント阻害薬というのは、

かなり盛んに開発されていて、

今まででは絶望的であったがんに対しても有効であったりなど、要注目です)

興味がある人は、本を読んで勉強してもらえればと思います。

posted by リハ技師 at 17:39| 山形 ☁| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月26日

医療機器開発とベンチャーキャピタル

新書の紹介

「医療機器開発とベンチャーキャピタル」

大下創 池野文昭

経営者新書


うーん、ブログ管理者、

前回の本もそうですが、

あまりリサーチすることなく、勢いで買ってしまうことがあります。

今回もその手の本。


概要としては、

日本の医療機器産業が目指すべき未来像とは?

またベンチャーキャピタルの仕組みとプロセスをわかりやすく解説した、ものとなっています。


うーん、まずそもそもタイトルのベンチャーキャピタルという言葉が

実際この著書でもこのワードの説明がなく、

もう皆さん知っているでしょう、という感じの文調になっています。

考えてみれば経営者新書なので、

このような本を読む人には常識的なワードなのでしょう。

なのでビジネス初心者向けのホームページで検索してみると、

下記のような説明になっていました。

【ベンチャーキャピタルとは、主に高い成長率を有する未上場企業(ベンチャー企業)に対して、ハイリターンを狙った投資を行う投資会社(投資ファンド)のことを指します。】

ベンチャーの基本的な仕組みやら、魅力やら具体的に事例も出しながら説明がありました…。

しかしブログ管理者は全くこの手の話には興味が持てなかったので、

久しぶりに超斜め読みを駆使してしまいました。

少し興味を持てたところは第5章のところ…。


【歴史的にみても、画期的な医療機器の開発には医療現場からのニーズが重要であり、医療従事者、特に医師が大きな役割を果たしてきた例が多い。】


10年程度昔の話になりますが、

当院でも開発課がある地元の業者に移乗用の手すりについて議論し、

その議論に基づいて移乗用の新しい手すりの開発に寄与したことがあります。

他にもブログ管理者が覚えている限り、23、その商品開発に関わったことがあります。

(こういうのがあればなぁというようアイデアを、

ただ口をだしただけなので、当院にお金が入ったということはありません)


企業はあるアイデアを具体化して商品化することはできるとは思いますが、

そのアイデアに関しては、

実際臨床の最前線で頑張っている人たちにはかなわないでしょう。

ゆえにどこにおいても医療・福祉の関係者が医療福祉機器に関して、

アイデアや検証をしているところって意外とあります。


臨床だと1人1人の患者さんと向き合っての医療・介護になりますが、

このような医療・福祉機器の開発に関わることは、

たくさんの人たちが助かることにもつながるものです。

ベンチャーキャビタルというのはよくわからないものの、

企業と医療・介護関係者がコラボして、いい商品を作ることって大切だと…、

そう感じました。


この本800円、

しかしほとんど斜め読み、

うーん今度からは、経営者新書は買わないでおこう。

posted by リハ技師 at 19:10| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月19日

福祉と介護 「7K」職場の改善術

新書の紹介。

「福祉と介護 「7K」職場の改善術」

佐藤睦夫

経営者新書


この本の内容は1行でいうと、

きつい、汚い、危険などの過酷な介護職場の改善するポイントを述べたもの、と言えます。

(7Kとは、きつい、汚い、危険、帰れない、給料が安い、規則が厳しい、休暇がない、です)

しかしブログ管理者からのこの本の評価としては、

今後の介護は重要な業種であり、

また介護職場業界の労働問題が深刻である、という状況認識は評価できるところがあったものの、

その肝心な改善術が、

どうにもこうにも改善術になっていない、そう思ってしまう内容の本でした。


著者は、

今言われている7Kをポジティブ7Kに変えられれば、そこで働く人は幸せを感じて仕事ができると言っています。

そのポジティブ7Kとは、

希望、期待、感謝、感動、感激、可能性、快感となっています。

そしてこの本での改善術は、

そのような7つの感覚をまず自分自らが感じるようにならなければいけない的なことが書かれています。

だからこそ、

職場では介護のやりがいをきちんとわかってもらう努力が必要だとも言っています。

それがうまくいけば前向きになれると…。

「うーん」「うーん」なのです。

これは部分的には納得できるものの、

これだけだと、7Kそのものの改善に蓋をしてしまっている状態になってしまい、

絶対長続きしない、そう思って読んでいました。

どう見てもこの本の職場改善術は、バランスを欠いているのです。

(7Kそのものの改善は困難があることは十分わかっています、

しかし何かしら対策がないのか、もっと視野を広く、そして深くみていく必要があります)

なぜこのような耳に優しいポジティブ7Kを連呼するのか、

どうもブログ管理者としては、

賃金や職場環境などの改善は現実大変なので、目をつむりましょう、というブラック経営者的な感覚が隠れているのではないかとみてしまいます。


うーん、今回の本はなのでした。

posted by リハ技師 at 19:53| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月14日

日本の手術はなぜ世界一なのか 手術支援ロボットが招く未来

相当久しぶりに新書の紹介。
日本の手術はなぜ世界一なのか 手術支援ロボットが招く未来
宇山一郎
PHP新書

この本ではなぜ日本の手術が世界一なのかのの著者の考察、
あと手術に対する一般の人が持つ誤解にたいしての説明、
将来の手術の方向性などなどがあるのですが、
一番この本の目玉は第3章のロボット時代の幕開けでしょう。
以前、車の自動運転についてや、プロをも負かすAI(人工知能)など、
現在発展進行中のテクノロジーのすごさを伝えたことがありました。
そしてこの手術ロボも将来、数多くの病院で設置されることは間違いないだろうな、と思わせるものでした。

まず機械のすごさは、
数ミリ単位で動かさなければいけない手術で、
その通り細かく動かすことができるというもの。
医師でも多少なりとも好不調があり、不調な場合は手ぶれがおきて、
メスで健全な組織を傷つけたりしてしまう可能性はぬぐえないでしょう。
つまり手術の精度と安全性を大幅に高めてくれたといってもいいものでした。

この本、きわめてわかりやすく書かれているものの、
読みやすさを優先したためか、
科学的な裏付けをした説明は少なめにはなっています。

将来はもしかしたら、
手術支援ロボの影響で、
外科医の腕(技術)で評価されるのではなく、
どう手術していくか、という戦略をもった医師が評価される時代になるかもしれません。
posted by リハ技師 at 21:05| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする