2017年07月31日

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病

新書の紹介。

「現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病」

岸本忠三/中嶋彰

講談社BLUEBACKS


この本の前に、

現代免疫物語

新・現代免疫物語をこの2人の著者は書いています。

ブログ管理者も現代免疫物語は読んだことがあります。

難解になりそうな部分はかなり工夫してわかりやすく表現されていて(BLUEBACKSにありがちな難解で専門的な文章は少なかったです)

比較的面白く読んだ本の1つでした。


今回の本は、その第3弾。

多少なりとも、免疫の基礎知識がないと、読むのにはかなり苦労するタイプの本になっています。

ブログ管理者は、前回の本の知識もあり、

本の最後の方はななめ読みをいつも通り駆使してしまいましたが、

その他は前回の本より新しく見つかった知見など、かなり知的好奇心がくすぐられました。


この本の中で気になったワードは、

樹状細胞

制御性T細胞

免疫チェックポイント分子、です。


まず樹状細胞から説明したいのですが、ごく簡単に免疫ででてくる他の細胞を紹介します。

マクロファージ→病原体がきたらすぐに攻撃してやっつけてくれます。でも完全にはやっつけてくれない場合もあり。(先制攻撃タイプ)

ヘルパーT細胞→マクロファージなどで攻撃したということを感知して、様々な免疫細胞の開始にゴーサインをだします(攻撃の司令塔)

B細胞→敵が強い場合は、B細胞は抗体というミサイルを作り出し、病原体に向かって撃ち始めます。

キラーT細胞→文字通りの殺戮部隊

そして樹状細胞、

マクロファージなどで断片になった病原体、それを捕まえ、

このような敵がきているよと、ヘルパーT細胞に伝える役目になっています。

そして今回の本では、

この免疫の機能をうまく使い、がんなどの治療に生かせたことが描かれています。

この樹状細胞を体外に取り出し培養して増やし、

患部から採取したがん細胞とお見合いをさせ、体内に戻す、というものでした。

このことによりヘルパーT細胞がそのがんにそった免疫細胞を賦活化しやすくなったのでした。


今度は制御性T細胞。

まず先ほど説明した細胞はうまくいけば、悪者をやっつけてもらい、

体の中は平和になるのですが、

時にその細胞たちが乱暴者になり、過度な対応をしてしまうことがあるそうです。

過度だけではなく、とばっちりで問題ないところにまで攻撃するなど、

平和でなくなる事態もあるのです。(その代表的な疾患が自己免疫疾患です)

このような事態も人間の仕組みは想定していて、

そのような乱暴者になったひとを「やめろ!!」といって制御する細胞が、

制御性T細胞となります。

つまり自己免疫疾患に関しては、この制御性T細胞がキーになるのです。


そして免疫チェックポイント分子。

ここからだんだんと専門的になってきて、

ブログ管理者なんとなくは理解ができたのですが、説明するレベルにはなっていません

(この免疫チェックポイント阻害薬というのは、

かなり盛んに開発されていて、

今まででは絶望的であったがんに対しても有効であったりなど、要注目です)

興味がある人は、本を読んで勉強してもらえればと思います。

posted by リハ技師 at 17:39| 山形 ☁| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月26日

医療機器開発とベンチャーキャピタル

新書の紹介

「医療機器開発とベンチャーキャピタル」

大下創 池野文昭

経営者新書


うーん、ブログ管理者、

前回の本もそうですが、

あまりリサーチすることなく、勢いで買ってしまうことがあります。

今回もその手の本。


概要としては、

日本の医療機器産業が目指すべき未来像とは?

またベンチャーキャピタルの仕組みとプロセスをわかりやすく解説した、ものとなっています。


うーん、まずそもそもタイトルのベンチャーキャピタルという言葉が

実際この著書でもこのワードの説明がなく、

もう皆さん知っているでしょう、という感じの文調になっています。

考えてみれば経営者新書なので、

このような本を読む人には常識的なワードなのでしょう。

なのでビジネス初心者向けのホームページで検索してみると、

下記のような説明になっていました。

【ベンチャーキャピタルとは、主に高い成長率を有する未上場企業(ベンチャー企業)に対して、ハイリターンを狙った投資を行う投資会社(投資ファンド)のことを指します。】

ベンチャーの基本的な仕組みやら、魅力やら具体的に事例も出しながら説明がありました…。

しかしブログ管理者は全くこの手の話には興味が持てなかったので、

久しぶりに超斜め読みを駆使してしまいました。

少し興味を持てたところは第5章のところ…。


【歴史的にみても、画期的な医療機器の開発には医療現場からのニーズが重要であり、医療従事者、特に医師が大きな役割を果たしてきた例が多い。】


10年程度昔の話になりますが、

当院でも開発課がある地元の業者に移乗用の手すりについて議論し、

その議論に基づいて移乗用の新しい手すりの開発に寄与したことがあります。

他にもブログ管理者が覚えている限り、23、その商品開発に関わったことがあります。

(こういうのがあればなぁというようアイデアを、

ただ口をだしただけなので、当院にお金が入ったということはありません)


企業はあるアイデアを具体化して商品化することはできるとは思いますが、

そのアイデアに関しては、

実際臨床の最前線で頑張っている人たちにはかなわないでしょう。

ゆえにどこにおいても医療・福祉の関係者が医療福祉機器に関して、

アイデアや検証をしているところって意外とあります。


臨床だと1人1人の患者さんと向き合っての医療・介護になりますが、

このような医療・福祉機器の開発に関わることは、

たくさんの人たちが助かることにもつながるものです。

ベンチャーキャビタルというのはよくわからないものの、

企業と医療・介護関係者がコラボして、いい商品を作ることって大切だと…、

そう感じました。


この本800円、

しかしほとんど斜め読み、

うーん今度からは、経営者新書は買わないでおこう。

posted by リハ技師 at 19:10| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月19日

福祉と介護 「7K」職場の改善術

新書の紹介。

「福祉と介護 「7K」職場の改善術」

佐藤睦夫

経営者新書


この本の内容は1行でいうと、

きつい、汚い、危険などの過酷な介護職場の改善するポイントを述べたもの、と言えます。

(7Kとは、きつい、汚い、危険、帰れない、給料が安い、規則が厳しい、休暇がない、です)

しかしブログ管理者からのこの本の評価としては、

今後の介護は重要な業種であり、

また介護職場業界の労働問題が深刻である、という状況認識は評価できるところがあったものの、

その肝心な改善術が、

どうにもこうにも改善術になっていない、そう思ってしまう内容の本でした。


著者は、

今言われている7Kをポジティブ7Kに変えられれば、そこで働く人は幸せを感じて仕事ができると言っています。

そのポジティブ7Kとは、

希望、期待、感謝、感動、感激、可能性、快感となっています。

そしてこの本での改善術は、

そのような7つの感覚をまず自分自らが感じるようにならなければいけない的なことが書かれています。

だからこそ、

職場では介護のやりがいをきちんとわかってもらう努力が必要だとも言っています。

それがうまくいけば前向きになれると…。

「うーん」「うーん」なのです。

これは部分的には納得できるものの、

これだけだと、7Kそのものの改善に蓋をしてしまっている状態になってしまい、

絶対長続きしない、そう思って読んでいました。

どう見てもこの本の職場改善術は、バランスを欠いているのです。

(7Kそのものの改善は困難があることは十分わかっています、

しかし何かしら対策がないのか、もっと視野を広く、そして深くみていく必要があります)

なぜこのような耳に優しいポジティブ7Kを連呼するのか、

どうもブログ管理者としては、

賃金や職場環境などの改善は現実大変なので、目をつむりましょう、というブラック経営者的な感覚が隠れているのではないかとみてしまいます。


うーん、今回の本はなのでした。

posted by リハ技師 at 19:53| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月14日

日本の手術はなぜ世界一なのか 手術支援ロボットが招く未来

相当久しぶりに新書の紹介。
日本の手術はなぜ世界一なのか 手術支援ロボットが招く未来
宇山一郎
PHP新書

この本ではなぜ日本の手術が世界一なのかのの著者の考察、
あと手術に対する一般の人が持つ誤解にたいしての説明、
将来の手術の方向性などなどがあるのですが、
一番この本の目玉は第3章のロボット時代の幕開けでしょう。
以前、車の自動運転についてや、プロをも負かすAI(人工知能)など、
現在発展進行中のテクノロジーのすごさを伝えたことがありました。
そしてこの手術ロボも将来、数多くの病院で設置されることは間違いないだろうな、と思わせるものでした。

まず機械のすごさは、
数ミリ単位で動かさなければいけない手術で、
その通り細かく動かすことができるというもの。
医師でも多少なりとも好不調があり、不調な場合は手ぶれがおきて、
メスで健全な組織を傷つけたりしてしまう可能性はぬぐえないでしょう。
つまり手術の精度と安全性を大幅に高めてくれたといってもいいものでした。

この本、きわめてわかりやすく書かれているものの、
読みやすさを優先したためか、
科学的な裏付けをした説明は少なめにはなっています。

将来はもしかしたら、
手術支援ロボの影響で、
外科医の腕(技術)で評価されるのではなく、
どう手術していくか、という戦略をもった医師が評価される時代になるかもしれません。
posted by リハ技師 at 21:05| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月16日

チーム

久しぶりに本の紹介。

堂場俊一の「チーム」という本です。

一言でいうと、箱根が舞台の駅伝小説になります。

ではもう少し詳しく説明を………。

学連選抜が主人公で、

最初寄せ集めたチームが、次第にチームとしてまとまっていくさまが描かれていきます。

その本の中から山登りの区間を任された人物が自分に言い聞かす、このような文章が…。


【踵から着地するな。そんなことはできないのだが、土踏まずを意識して、そこから落ちる感じを持て。そうすることで、踵の負担を減らすことができる。衝撃は膝で受け流せ。とにかく前かがみになってはいけない。ヘソでバランスを取り、道路に対して身体を直角に保つ。】


かなり具体的にイメージトレーニングをしていますね。

何度も何度も繰り返し練習を行ったことで、自分流の動きのイメージをつかむことができたのだと思います。

しかしスポーツはその目標とする大会に向けてのものであり、そのような大会はだいたい一発勝負。

本当にそのことがうまくいくかは、能力+その日の調子や心理状態になっていきます。

また一発勝負としての大会と言うのは、強く精神的な影響を受けるはずです。

皆さんも多かれ少なかれ、様々な心の揺れが身体にも大きく影響してしまう、ということは、経験がありますよね。


リハビリにおける患者さんも、

一発勝負での大会とはまた違う精神的な緊張を持っているはずです。

ボディイメージの問題や、

今後についての不安などの問題を抱えながら、

患者さんは新たな動作獲得に向けてチャレンジをしています。

様々な多くの問題を抱えている患者さんは、

チャレンジしていく活動に対して、

スポーツ選手よりも心の状態は変動し、身体の動きも変わっていくこともあるでしょう。

私たちはそのような心の動きも丹念に見ながら、リハビリを行っていく必要があります。


実際のリハビリでは、

イメージトレーニングをすることも場合によってはありますが、

適切に設定(目標・環境など)され、適切な方法で指導された練習・指導を繰り返し行うことで、

何も考えなくても体が自然と動く、というのが理想的だと、ブログ管理者は考えています。


さてこの「チーム」、

なかなか読みやすくて、でてくるキャラクターもなかなかユニークで面白いです。

箱根駅伝ファンであれば、一気読みする人もいるかもしれません。

posted by リハ技師 at 20:37| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月27日

介護ビジネスの罠

新書の紹介。

介護ビジネスの罠

長岡美代

講談社現代新書


10兆円の巨大市場に巣くう悪徳業者たち。入居者の「囲い込み」は当たり前、増加する「老人ホームもどき」、「看取り」サービスの裏側、「胃ろう」の功罪、高齢者を儲けの道具と考える不届きな事業者が跋扈。家族の弱みにつけ込む悪質な手口を徹底解剖。】

(「BOOK」データベースより)


今までの自治体の措置制度で行われていた介護サービス、

20004月より介護保険制度で大きくその仕組みは大きく模様変わりしました。

この時に介護サービスを民間に開放することで、

市場原理によって悪質な事業者を排除できる、ということでした。

しかし、指定取り消しや効力停止処分になる業者は後を絶ちません。


これはブログ管理者のあくまでも推測ですが、

単に介護事業を金儲けのビジネスとしてだけ考え、

何の理念も抱いていない企業が参入してきているからだと考えています。

今はなにごとにおいても規制緩和・規制緩和という連呼が聞こえてくるほど、

規制はない方がいいというふうに感じてしまっている人たちも多いのではないでしょうか。

しかし、この本を読み進めると、

少なくともこの場合に関しては規制を強化すべきなのです。

そうしなければ、悪徳業者の罠に高齢者ははまってしまい、

介護とは言えない介護を受け続けてしまうのです。


1章はサービス付き高齢者向け住宅の実態について、

2章は患者紹介ビジネスの実態について、

3章は老人ホームもどきの実態について、

4章は看取りビジネスについて

5章は胃ろうについてのメリット・デメリットについて、が語られていきます。


介護ビジネスの対象者は立場の弱い人がほとんどです、

それだけに介護ビジネスの罠にひっかかりやすい対象ともいえます。

そうならないためにも厚生労働省も一定程度規制を強化はしていますが、

この本を読み進めていくとまだまだ不十分であることは否めません。

少なくとも介護の本質を理解しているビジネスをしているところが評価され、

そうではないところを評価しない、という方向に、

もっと厚生労働省はかじを取ってもらいたい、そう強く感じます。

posted by リハ技師 at 16:34| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月23日

なぜ皮膚はかゆくなるのか

新書の紹介。

なぜ皮膚はかゆくなるのか

菊池新

PHP新書


【どうして皮膚はかゆくなるのか?なぜかくと快感を得られるのか。最近になって解明されつつあるそのメカニズムをわかりやすく紹介。

体の中で掻けるところしかかゆくならない、「かゆかった」記憶からかゆみが復活する、ストレスが悪化させるといった特性のほか、これまでは「かゆみは軽い痛み」と考えられていたがそれが完全な誤解であることも解説していく。…】

(表紙扉にあるこの本の概要から引用)


この本、1章から4章まであるが、1章と2章がこの本の中核です、

当ブログではこの本の1章から気になったところを引用していきます。


【かゆみの原因物質として第一に挙げられるのが「ヒスタミン」である。】

第一として挙げられていますが、まぁ、まずかゆみといえば、これが原因物質のようです。

これは動物であれば結構普通にある化学物質で、普段は不活性でなんの症状も引き起こしません。

しかし、何かのきっかけで活性化すると「かゆみ」が生じてしまうのです。


【「かゆみ」は、この一番細いC繊維によって伝えられている…】

知覚神経で皮膚感覚を伝える神経は3種類あります。

Aβ、Aδ、Cの三種類があります。

Aβ繊維は神経も太く、有髄繊維になります、

C繊維は神経が細く、無髄繊維になります。

髄鞘は絶縁質であるため、

間にあるランビエ絞輪で発生した活動電位が髄鞘を飛び越えて伝わるため、

無髄のものに比べて伝導速度は速いです。

つまりC繊維の速度は遅いのです。

じわじわゆっくりくる感覚です。

また痛みのAβ繊維には、包丁で手を切った時に瞬時に手をひっこめる、というような脊髄反射があります、

しかしC繊維にはそのような反射はありません。

おそらく痛みの場合は命の危険性があるために、そのようなメカニズムがあるのだと思いますが、

まぁ、かゆみは、それほど急いで対処しなくてもいいということなのでしょう。


【…、かゆみは交感神経が有意な状態であっても、副交感神経が有意な状態であっても感じやすくなる。非常に精神的な影響を受けやすい感覚…】

つまりこれは、心の変化が、かゆみに大きな影響を与えている、ということなのです。

このブログを入力しているブログ管理者も、

なぜかすでにかゆくなっています

情動を司る脳のある部位と「かゆみ」は関係があるのです。


【イッチ・スクラッチサイクルとは、「かゆい」⇒「掻く」⇒「掻いた部分が傷つく」⇒「傷ついた部分に炎症が起こる」⇒「症状が悪化する」⇒「もっとかゆくなる」⇒「さらに掻き壊す」⇒…】

よく言いますよねぇ。

かゆくても掻いちゃいけない、もっとかゆくなるから…。

実はこれ、理にかなっているんです。

人間の本能として、動く反応では正当性があるものが多いのですが、

この掻いてしまう、というこの行為は、

この場合は良くないんです。


他の24章も非常にわかりやすく、ほとんどななめ読みをしたところがありませんでした。

この手のものは、難解になりやすいものなのですが、

この著書のわかりやすさは、なかなかです。

興味をもった方はどうぞ読んでください。

posted by リハ技師 at 18:32| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月19日

粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う

久しぶりに新書の紹介。


「粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う」

中垣俊之

文春新書


【脳も神経もなく、形を様々に変えたかと思えば、生物学上の分類さえ融通無碍、南方熊楠がその生涯を捧げたことでも有名な粘菌。単細胞と侮るなかれ、迷路を解き、発達した交通網をも独自に作り上げる。森の中、落ち葉の下。実は身近な粘菌の、「単純に見えて賢い」思考と生態が明らかに。】

(新書カバーの見開きから、概要が書かれているところを引用)


ところどころ難しい内容があり、またななめ読みを何度も駆使しましたが、

2点、含蓄のある文章があり、

それがブログ管理者の仕事とも結びつけられる内容でもあったので、

そこはじっくり読んでしまいました。


そもそも粘菌とは何でしょう。

いる場所は土の中とか、朽ちた木に存在するとのこと、

大きさは2ミリ以下で透明、ゆえに皆さんも外で見たことはないでしょう。

動物とも植物ともいえない存在らしい…。

周囲の餌をとりこみながら増殖していくアメーバ―みたいな存在ようです。


さて今回の著者はイグ・ノーベル賞を2回も受賞した経歴の持ち主、

当然その受賞テーマは、今回の粘菌がからんでいます。

しかし、なぜこの粘菌研究がそれほど日の目を浴びたのでしょう。

それは、この粘菌の研究が様々な分野に応用できることがわかったからです。

それはどういうことかというと、

粘菌が増殖するネットワークづくりが非常にシステマティックだったのです、

経済性に優れ(餌をとるための全ネットワークの総和の短さ)

なおかつ耐故障性にも優れ(万一、一つのルートが切れたとしても、他のえさ場までのルートを確保していくこと)

更に連絡効率も優れて(2つのえさ場の距離の短さ)いたのです。

これらのことから、

鉄道網を整備するときに粘菌のこの反応?を使って、実際に役立てることが可能という発想を打ち出したのです。

粘菌という単細胞と言われる「単純であまり機能的にはそれほどなさそうな」細胞というイメージが、

実はこのような単細胞から複雑な交通網の整備に生かすことができるという発想は、

あまりにも新鮮で目からうろこ状態でした。

11つの細胞だけをみていくと、たいしたことがない細胞とみられる粘菌という単細胞、

しかし全体を見ていくことによって、これだけ高度な多機能的な反応を示すことができる、

より物事というのは全体というものをきちんととらえなければいけない、

そう強く感じさせた研究でした。


もう1つびっくりしたのは、11つの粘菌にも様々な行動選択があるということです。

そのことが分かった研究を簡単に述べましょう。

細長いレーンを用意し、粘菌を端に置きます、

粘菌は反対の端に向かってゆっくり移動していきます、

その途中に粘菌が嫌がるキニーネという化学物質を塗ったのです、

このようにしたときに粘菌はどのような行動をしたのでしょうか。

3つに共通したのは、キニーネに前でいったん立ち止まって動かなくなったことです、

まるでこの物質の前に考え込んでいるように………。

しかし、なんとここで行動が分かれたのです。

キニーネを前にして引き返したグループ、

キニーネを乗り越え他グループ、

キニーネを乗り越え他グループと引き返したグループに分裂したものと………。

(立ち止まる時間もバラバラ、

キニーネに入ってから考えるタイプ、キニーネに入る前に考えるタイプなど様々でした)

これは厳密に同じ環境下でおこなったのにも関わらず、そうなったのです。

これをどう考えるでしょうか。

当然、脳というものはないので、そこに意思があるとは思えません、

では一体何がその行動選択の基準になったのか、

著者は仮説を立てていました。

それは、いくら環境を同じように設定したとしても、

粘菌の世界ではごく微細な変化がその行動選択に影響を与えているのだろうと…。

このような粘菌の話から、

環境の違いが、ある対象に大きく影響を与える、のだということ。

これは何かICFの勉強をしているのかと思ってしまうほどでした(ブログ管理者、職業病かもしれませんが…)


この本では、他にもこの粘菌研究を通じて、

学ぶこととは何か、

見ることとは何か、にも触れられています。

興味をもった方はぜひともこの本を買ってください。

posted by リハ技師 at 17:12| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする