2015年01月22日

POCD

一昨日の抄読会、OTの報告。

テーマは、術後認知機能障害(POCD)





【手術や麻酔後に生じる長期的な脳機能障害の一種で、術前よりも認知機能が低下した状態である。

 これまで多くの基礎研究がなされているが、国際的な診断基準はなく、現時点で統一された見解には至っていない。つまりPOCDの全体像は依然として明らかではなく、予防や治療法の確立には至っていない】




ここで疑問がでるかもしれません、

それって術後せん妄と、どう違うの、という疑問が………。

発症様式としては、

術後せん妄は急性であり、POCDは緩徐。

持続時間としては、

術後せん妄が術後から数時間・数日、POCDが術後から数週間・数年、

意識としては、

術後せん妄が変化するが、POCDは正常とのことです。


では、そのPOCDはどの程度いるのか?



【心臓手術数週間後には30%80%36ヶ月後には1060%POCDの発生率になると報告されている。】




特に高齢者になればなるほど、このPOCDになる可能性がある、という報告も述べられていました。

そのPOCDを誘発する因子としては、まだエビデンスの高いものは、あまりないのですが、

年齢増、麻酔の種類、低い教育歴、手術時の出血量、うつ状態が関係しているらしいです。


整形疾患であろうと、手術を起点にして、認知機能が低下する可能性がある、

ということを意識し、評価や訓練を行う必要があると考えます。


posted by リハ技士 at 13:59| 山形 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月15日

高次脳機能障害者に対する家族や職場に対しての指導

一昨日の抄読会、OTの報告。

38回日本高次脳機能障害学会 市民公開シンポジウムの研修から、

今回報告したOTがまとめた資料から。


【「精神科医から診た高次脳機能障害」上田敬太

退院して社会復帰後の支援はどうするのか…。社会復帰した後何年後か後におかしいと思い、精神科に相談に来るというケースが多くおり、社会的行動障害など目に見えない症状をその人の個性や努力の足りなさと考え、患者と家族の間に感情的な葛藤が生じてしまうこと…】

手足が動かない、のような目に見える障害は、

他者からその手足が動かない、

何か病気やけがで障害を負ったのだろうかという視点を持ちやすいと考えます。

しかし高次脳機能障害は、

引用にもあるように障害ではなく、

その人自身の性格や努力の問題として、

周囲に受け取られる可能性があります。

実際に高次脳機能障害の患者と家族の会に参加した時、

職場復帰した後、その職場の人たちから心ない言葉を浴びせられ、

強く傷ついたという話を何度か聞いたことがあります。

更によく話を聞くと、

高次脳機能障害の事についてよく理解していないことが要因のように感じました。

その方は当院を退院された患者さんではありませんでしたが、

当院を退院された患者さんにおいても、

このような差別を味わうような環境に参加するような場になっていないか、

そう問う必要があるでしょう。

そしてもしそうなるような環境であれば、

啓もう活動の工夫と、職場であれば上司との連携が特に求められると考えています。

上司に理解があれば、スタッフに対しての指導も行いますし、

本人の課題遂行力に応じた業務を命じることもできるからです。

また啓もう活動に関しては、

すぐには高次脳機能障害について理解するということは困難だという意識が必要です、

感覚的にも家族は患者の障害を受け止めたくないでしょうし、

更に高次脳機能障害という内容が複雑です。

時間をかけて、丁寧に反復して指導するという姿勢でなければいけません、

このぐらいはわかるだろうという医療者の傲慢さを持つことなく、

患者・家族がリハ技士にいつでも質問できるような謙虚な姿勢を持ち続けることが何よりも大切なのです。

posted by リハ技士 at 18:36| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月08日

家族支援と作業療法

1216日の抄読会、OTの報告。


家族支援と作業療法

作業療法ジャーナル45(11)2011.10


【家族1人の病気は、家族全体のバランスに影響を与える。家族支援はキーパーソンを含めたシステムとしての家族に視点を向け、家族全体を把握したうえで実践していくことである。

 つまり、家族間の役割バランスは?どのようにささえあっているのだろう?家族の願いは?と推察し、援助の方法を考えていくことなのである。

 われわれOTは一律にどの家族も必ずそのようにすべきだという考えではなく、あくまで最大公約数の指標として情報を提供し意見を伝えていくことが重要である。

 また、患者と家族が意識できない課題を探り、新しい家族関係の発展に貢献していくという観点で知識を応用していくことが大切である。

 家族支援はOTの家族に対する定型的な考え方と偏見を自覚するところから始まるといっても良い。日ごろからの家族とのコミュニケーションの積み重ねにより家族の理解を深めていくことになる。】


最後の文章に注意が必要でしょう。

【家族支援はOTの家族に対する定型的な考え方と偏見を自覚するところから始まるといっても良い。】

私たちリハ技士は個人を対象に訓練をする(個人への対応が豊富)ことが多いことや、

それ以前に学生時代から個人を評価することに対しての授業が主であったことから、

個人に対しての多様性は比較的認めて対応していることが多いでしょう

しかし、家族に関しては、

単純な接触の少なさ(より体験することが少ない家族対応)と、

リハ技士が家族評価に対する意識の位置付けが低かったりすることも加わることによって、

家族に対する考え方が非常に硬直的なものになってしまう恐れがあります

(数少ない体験であることや知識も乏しいことから、自分が経験している家族のあり方に頼ってしまう)

それを防ぐためには、引用した文章にあるように、

自分がまだまだ未熟であることを自覚することでしかないでしょう。

そして、その未熟さと思うがゆえに、

いろいろ経験していこうという意識を高くすることができます、

そのことで家族の様々なあり方を知り、

硬直的であったリハ技士のその家族のあり方が変化していくのだと思います。


明日は昨年の抄読会ランキング5を紹介します。

posted by リハ技士 at 18:19| 山形 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月07日

生活行為向上マネジメント

抄読会の報告。

昨日少し話ししたように、

昨年の秋から地域の組合員さんに向けての統一した内容での健康指導・実技を行っています。(10分の時間)

毎月メニューを変えて行っていて、

10月は栄養に関して、

11月は正しい歩き方について

12月は作業活動が健康に与える影響について、

を行ってきました。

(この内容についてはプロジェクト委員会を作り、どのような内容で、それに合わせたパンフレット作るかという事を討議し、

各部門の技士であれば誰もが指導できるような統一的な内容にしました)

どのような内容・パンフレットにしたかを、

この抄読会の場で報告、その後の討議によっては、その内容の変更も行っています。

一般向けであることから、初心者用の簡単な内容になっているので、

この3つの報告はこのブログでは報告しません。

あと、この抄読会で、隣の市のパスについての説明もありましたが、

これもきわめて事務的な内容なので省略します。(今までもこのような事務的な内容は報告を省いてきました)

ゆえに実質は昨年報告できていなかった報告は2つで、今年の抄読会は全て報告したことになるはずです。


早速、122日のOTの報告。

「生活行為向上マネジメント」


この生活行為向上マネジメント、

数年前まではこのようなワードは聞いたことが無かったのですが、

2年前ぐらいから徐々に浸透していき

現在の作業療法界では津々浦々どこにおいても研修が進められています。

実際にこの生活行為向上マネジメントで評価すると、

介護報酬上、加算がつくかもしれないなどという情報が聞こえてきます。


さて作業療法マニュアル57 生活行為向上マネジメントpp1112には、

このマネジメントの狙いが記載されています。


【マニュアルとツールをを活用しトレーニングすることで、全ての作業療法士が対象者に適切な作業療法を提供できる。

 対象者と支援目標を共有し、対象者が自分の回復に積極的に関与できる。

 @人を心身機能の側面から理解するのみではなく、生きる営みである「生活をする人」として包括的に捉える視点

 A入院前の生活から退院後の生活まで、一貫した対象者の生活を理解し支援するという包括的アプローチの視点。

 B作業の継続性という個人の活動から、地域の社会資源の活用までを幅広く捉える包括の視点】


それほど今までの評価と大きく異なったものではありません、

もっと大雑把に言っちゃうと、

対象者である患者さんの捉え方が偏ったものにならないこと(疾患や障害だけを理解するのではないこと)

そしてそれを時系列的に捉えること(リハ場面で見る評価・訓練は一部分にすぎないことを意識する)

個人だけでなく、様々な地域にある環境も含めて評価していく、ということかな?と…。


具体的なマネジメントの流れとしては、

生活行為聞き取りシートで、

患者さんが困っている問題や改善したい点を聞きとり、その思いを明確化

(思いつかない場合は、興味・関心チェックシートを利用)

生活行為向上マネジメントシートで、

ICFにそって目標とする生活行為ができない分析を行い、

その分析からの必要なプランを立てていきます。

(生活行為申し送り表では、

現在の生活状況や、

そのアセスメントした内容や継続するとよい支援内容やプログラムを記載し、

その他職種に利用できる・参考にできる内容にしていく)


今年度からは、読売新聞で毎月1回、日曜日の朝刊に、

12人のOTが生活行為向上マネジメントの実践を短いコラムにまとめて報告されているとのこと、

もうすでに9人が報告されています。

グーグルで「読売新聞 自立を支える」で検索できるようです。

チェックしてみてください。

posted by リハ技士 at 16:52| 山形 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月13日

〜pusher現象改善のヒント〜

114日に行われた抄読会、PTの報告。

Pusher現象の背景と具体的アプローチ 〜pusher現象改善のヒント〜」

716日に行われた研修会で広南病院 リハビリテーション科 阿部浩明氏が講演した内容を報告。


pusher現象の患者はある一定の角度まではカウンターを取ったり、押し返しがみられるがいつまでも押しているわけではない。あるところで傾斜したまま止まる。

自分にとって正中だと思っている所から修正されてしまうために健側上下肢を使用にて抗ってくる。

pusher現象を呈する症例はSPV(ブログ管理者註:姿勢的垂直定位→閉眼時、自分の垂直が分かること・自身の身体軸)が約18度傾いており、その影響を受けて姿勢定位障害が生じていると思われる。一方でSVV(ブログ管理者註:視覚的垂直定位→視覚的垂直定位・外的環境に対する判断)は正確でなくなるものの一方向へ偏位せず、外部環境(視覚)の情報を正しく利用できる。また、体性感覚障害を多くの症例が伴う。麻痺側からの感覚情報を得ようとするために押すというのも一つの考えだが、pusher現象を引き起こす直接的要因ではない。】


視覚的垂直定位に問題があるということであるなら、

それを自分でそれに気付くような支援の仕方が必要になるということになります。

そしてその時のポイントとして、

外部環境の情報をうまくコントロールすることで、

本来の姿勢に戻す事につながる可能性があるようです。


あと初めて知ったのですが、

Burke Lateropulsion Scale(BLS)というプッシャーの評価スケールがあることを初めて知りました。

最高得点17点で、点数が高いほど重症です。

posted by リハ技士 at 18:38| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする