2015年06月24日

身体障害者授産施設のあり方

またいつものようにためてしまった抄読会。

512日にOTが報告。


「身体障害者授産施設のあり方」

総合リハ・3211号・1037~1041200411


11年前の資料なので、

もっと新しい文献で報告してもらいたいとは思ったのですが、まぁいいでしょう。

現状は10年たってもそんなには変化ないと思われます………




【結果として、利用者の高齢化・重症化傾向が加速され、就労の機会はもとより、地域生活移行が阻害されていることとなっている。

 これは、一般就労を希望しながらそれに至らない者や、社会生活力のスキルアップを図りながら福祉的就労を目指すものなど、障害状況や意欲の差が激しい利用者が混在するなかで、障害者の就労・社会参加ニーズと施設をとりまく環境変化に施設が適切に対応できていないことを示しているのではないかと推測できる。】




もちろん、2004年以降で変化した政策で多少なりとも改善している点はあるでしょう。

このブログでも紹介した「障害者優先調達法」

(障害者就労施設で就労する障害者や在宅で就業する障害者の経済面の自立を進めるため、国や地方公共団体、独立行政法人などの公機関が、物品やサービスを調達する際、障害者就労施設等から優先的・積極的に購入することを推進するために制定)や、

この法律の同じ年に障害者の法定雇用率がひきあがったりしています。


しかしそれほど雇用率は増えていない………と思っていたら、

すみません、厚生労働省のプレスリリース「民間企業における障害者の雇用状況」では、

グラフは実数・率ともに平成13年以降どんどん増え続けています。

うーん、そうだったのかと思ったら、

ご丁寧にも障害者のカウントの定義が年度によって変化していることが記載してありました。

うーん、実質的には増えているのか、それほど増えていないのかは、また???になりました。


【施設の機能に応じてそれぞれの施設を再編成し、障害者自身のニーズや就業能力に応じて、それにふさわしい機能の施設を利用できる仕組みとすることで、授産施設の役割を明確にできるのではないかと考えられる。】


2004年時点ではなかった就労継続支援AB型事業や就労移行支援事業、

2006年の自立支援法で再編成され、移行していきます。

posted by リハ技士 at 21:06| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月21日

介護報酬改定と今後のデイケア

またためてしまった抄読会報告。

今回は4月21日に報告された

「介護報酬改定と今後のデイケア」。

今回の厚生労働省から出された介護報酬改定内容から、

通所リハ責任者として今後どのようにすべきかを報告したものとなっていました。


今回の通所リハのリハ技士からみた大きな目玉はなんといっても、

リハマネジメントUでしょう。

利用者主体の日常生活に着目した目標設定

他職種協同を実現するための具体的な仕組みの導入

プロセスマネジメントの導入等、大きな改革となりました。


この算定要件が

・リハ会議を開催し、利用者、家族、医師、リハ、ケアマネ、その他関係者が参加し、目標やリハ内容を共有する。

・リハ計画について、医師が利用者または家族に対して説明し、同意を得る。

・開始月から6カ月以内の場合は1カ月に1回以上、6か月を超えた場合は3か月に1回以上、リハ会議を開催し、リハ計画を見直す。


皆さんのところではどの程度このリハマネUを取れているでしょうか。


当院デイケアの今後の取り組みとして、報告者は、

・ソーシャルケア(社会活動、参加機会の確保)、レスバイトケア(介護者の精神的・身体的介護負担軽減)への対応

・個別性を重視した、適時適切なリハビリテーション医療の提供

・マネジメントの強化、システム整備

・自立支援の強化 生活の場における課題の解決

・自己選択、自己決定できる多様なプログラムの提供

を挙げていました。

やや抽象的な言い方でははありますが、報告者の言わんとしている方向性は間違っていないでしょう。

身体的訓練にとどまらずにより個別性のある生活に根差した訓練やその管理、

ただ家の中だけの生活ではなく、

地域の様々なサービスを想定しての柔軟な対応、

そして自己決定権の重視、

結局、地域で幸せに生きていくことの支援を科学的に分析しながらも、

様々な意義のある対応(ワンパターンな対応をしない)を図っていく、ということなのでしょう。


もしかしたら、

来年度の診療報酬改定のリハビリ分野において、

この介護報酬のリハマネジメントUの考え方が一部踏襲される可能性があります。

posted by リハ技士 at 15:45| 山形 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月28日

シーティング

414日のOTの抄読会、

「シーティングについて」

参考・引用文献

シーティング入門,高齢者のシーティング,LEVOスタンディングセミナー資料

シーティング基礎セミナー資料・応用セミナー資料より


当院では、

リハ技師部内にシーティングチームがあり、

そのチームがシーティングを必要とする患者に評価し、

担当者に適切な指導・援助を行っています。


どのように行っているかと言うと、

入院時に患者さんが病棟の環境に安全になおかつ自立しやすい環境になるために、

看護師とリハ技士が入って、環境調整を行っています。

(上記は、回復期リハ病棟であればまず行っている内容です)

その新患環境調整の時に、座位能力分類による評価をその新患環境調整担当が行います。

座位能力分類の評価は、Hoffer座位能力分類を使用しています。




【両足が付いた状態での座位(端坐位)

1.手の支持なしで座れる 

 体幹の抗重力伸展活動が十分であるかどうかを評価する。

2.自分の手で支えれば座れる 

 ある程度の時間安定して座れるかどうかを評価する。

3.体幹の支持なしでは座れない

 一人では座れない状態。体幹や頭部を第三者や用具が支持しなければ座れない状態。】




上記の3に分類する患者にシーティングチームが関わっていく。

(12においても特別な必要があると思われる場合は、シーティングチームに相談)

、という感じになっています。


抄読会ではシーティングの基礎的な内容と、現在のシーティングチームの関わりを報告していました。

posted by リハ技士 at 19:30| 山形 | Comment(0) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月23日

リハビリテーション関係者が知っておくべき精神科疾患・精神医学

47日に行った抄読会。PTの報告。


特集 リハビリテーション関係者が知っておくべき精神科疾患・精神医学

理学療法士の立場から ―統合失調患者のリハビリテーション症例を中心に−

MB Med Reha No.10652-562009

泉美帆子


いろいろ記載されていますが、この抄録の【終わりに】のところをまず引用します。




【統合失調症は、自殺の障害危険率は10%、自殺企図が一般住民の2030倍と高く、2007年度は統合失調症の影響による自殺が1273人と報告されている。症例12のような自殺企図による身体障害を生じた統合失調症者と理学療法士が出会う機会は少なくない。また、高齢化が進む現状を踏まえると、老化に起因する脳血管障害や変形性関節症などによる身体障害を合併した統合失調者を担当する機会が増えることも想定される。現在のリハに日数制限がある診療報酬制度のもとでは、効率的に理学療法を実施することが求められている。そのため、統合失調症を合併している身体障害に対して理学療法の継続が、まずもって大切となる。そして、認知機能障害や投薬による副作用にも十分配慮した対応をすることが必要である。】




ブログ管理者も自殺企図(統合失調症患者ではなかったのですが…、別の精神疾患)での身体障害に対してのリハを行ったことがあります。

詳しいことは言えませんが、対応の仕方に苦慮した記憶があります。

このような患者は、間違いなく今後増えてきます。

なぜならこの超高齢化の社会の中で、

当然精神障害者も老化に伴う様々な病気やけがで身体障害を起こす可能性は高くなるからです。

つまり身体障害を主とする病院のリハでも、統合失調症の病をもつ人を担当することが増えていくのです

そのような人を目の前にしたときに、

今後、どのようなことを注意すべきなのでしょうか。


人にもよりますし、やり方にもよりますが、

運動をすることによって、精神症状が変化することってないでしょうか。

運動は何も身体機能だけでなく、精神機能にも何かしらある反応を起こす可能性があると推測します。

統合失調症患者が、精神関連の医療福祉施設以外の環境の中で、

新たにできた身体障害が加わることにより、更に精神状態が悪化する可能性もあります。

もう少し別の言い方をすると、

環境が変わり、自分の体も変わってしまう状況の中では、

デリケートな精神を持つ統合失調症患者は、

その精神機能が傷つけられ、更なる精神機能悪化につながりかねません。

そして身体障害に対してのリハさえ行えない状況に陥ります。

そうであれば理学療法も統合失調症の患者に対しての精神面に対しての考慮を十分にすべきでしょう。


この論文のアブストラクトでは、




【@精神症状の悪化は理学療法の継続を困難にする。

 Aリハビリテーションの開始が精神症状の悪化要因となる。

 B自発性低下・認知機能障害といった精神症状や投薬の副作用は動作遂行を困難にしている。

 C「できない動作」に直面させる機会の多い理学療法は精神的ストレスを高めている可能性…」】




、という統合失調症患者の留意点が書かれています。


AとCでは、理学療法をすることが逆に改善をすることを妨げる障壁とならないように、

何度も言いますが、

精神面を考慮した理学療法を提供すべきであり、

その提供するリハ技士は、統合失調症に対しての最低限の知識は持つべきでしょう。

posted by リハ技士 at 15:31| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月17日

勤労者における抑うつ症状に関わる諸因子のパス解析モデルを用いた検討

324日の抄読会、PTの報告。


勤労者における抑うつ症状に関わる諸因子のパス解析モデルを用いた検討

理学療法学 第42巻第1号 4249


まず【はじめに】から引用します。




【・心理・社会的要因に対して、職業環境において実施されるカウンセリング等の健康支援による抑うつ改善効果を、Meta-analysisを用いて分析。→カウンセリング等による抑うつ症状改善の効果量は0.29と小さかったと報告(Martin);職揚におけるストレスの原因となるような人間関係や労働条件そのものの改善や除去は容易ではないと予想される。】




先日、精神的な問題を抱える人に対して、

カウンセリング等だけの対面のアプローチだけではなく、

環境に対してのアプローチが重要であることを話しました。

しかし、ここでは、その環境調整が容易ではないことがでています。

確かに人を含む職場の様々な環境は、

そこに至るまでの積み重ねられた歴史があり、

そのような環境になったには、それなりの理由があります。

またおそらくよほどの理由がない限りは、

人は(生活の、職場の)環境に対して保守的な考え方をするものと考えます。

ゆえに本来はこのような人に対しては、時間をかけて、

職場復帰であれば、特に職場の上司との話し合いに時間をかけ、

本人への段階的なアプローチはもちろんのこと、

どううまく本人以外の環境を変化させれるのかということを綿密に連携していくべきです。

それがうまくできないようであると判断する場合は、

配置換えや、別の事業所に異動なども検討すべきなのでしょう。


今回の検討では、ある会社の正規雇用職員346名から、

抑うつ症状(SDS)、労働条件、ライフスタイル関連因子、身体症状(頚部・腰部の疼痛の程度をビジュアルアナログスケールを用いた)を調査、

SDSを従属変数、その他の結果を独立変数として2変量の単回帰分析を実施します。


ここでは、身体状況のところに着目、

まず結果として、SDSと筋骨格系疼痛に有意な差が認められます。(p˂0.01)



【痛みに伴って生じる自己効力感の低下や動作時痛に対する不安症状が抑うつと関連していると報告(Lundbergら)。


本研究の結果は、筋骨格系疼痛に伴って生じる、仕事に関連した心理状態の変化が、抑うつ症状を増大させる介在要因となることを支持するとともに、勤労者のメッタルヘルス対策としても、作業関連疼痛に対するPT等による介入が重要であることを示唆。

作業関連筋骨格系障害に対するPTを行う際には、同時に抑うつを評価・観察し、疼痛そのものと同時に、抑うつ症状の改善を目標とすることが重要である。】




この研究だけでは、メンタルからくる問題が身体症状に影響しているのか、

身体症状の問題がメンタルにきているのかということは、わかりません。

今回の結果はメンタルの問題と身体症状に関係があるということだけで、因果関係に関してはわかりません。

しかし、どちらにしろ、このような勤労者という人たちを評価する場合、

労働安全衛生での身体面の健康診断と、メンタルヘルスはバラバラに各々で評価してはいけないことがうかがえます。

このような分野にリハビリテーションがどれだけ関われるか、

まだブログ管理者には???ですが、

もし、そのような方向性ができそうな施設で、本人がその気であるならば、

まずその施設の労働安全衛生委員になって、

自分たちの事業所から変えてみてはいかがでしょう、

そして包括的な評価をしてみたら………。

posted by リハ技士 at 16:28| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 抄読会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする