抄読会、6月23日のOTの報告。
「脳卒中患者の就労予測」
総合リハ・42巻8号・741〜745・2014年8月
この論文で注目したのは、”復職できる条件”。
早速引用しましょう。
【1.ADl遂行能力が高い、2.疲労なしに少なくとも300mの距離を歩行できる、3.作業の質を低下させないで精神的負荷を維持できる、4.障害の受容ができている。】
【1.何らかの仕事ができる(作業の正確性)、2.8時間の作業耐久力がある、3.通勤が可能である。】
(上記論文から一部改編し、引用)
仕事によっては歩行ができないような車いすの人でも職場復帰可能です。
ブログ管理者自身もかなり昔の話ですが、
若い女性で車いすレベルの人が職場復帰できた事例は複数例あります。
ただ通勤は可能な人で、自動車運転は上肢を利用して可能な人でした。
また仕事のさせ方や環境設定には工夫が必要です。
その他に、精神的負荷の維持は特に高次脳機能障害の人には要チェックの評価項目でしょう。
就労ができるか否かの予測因子として、
論文に出ていた内容と、ブログ管理者が経験した内容で強く重なるのは、
障害の受容と、職場側・特に上司の受け入れがいい、ということです。
(障害の受容というと、技士によっては違和感を持つ人もいるでしょう。
障害を本当に受容することなんて本当にあるのだろうか、というものです。
障害受容論の問題は、いずれ深めたいと思いますので、
ここではいったん障害受容という言葉をそのまま受け止めてください)
まず障害の受容ができないと、職場復帰に身が入らない状態になることが問題です。
さらに職場側の受け入れは、それ以上に重要です。
同じような障害(質・度合い)で、同じような仕事であっても、
その職場の風土だったり、上司の考え方次第で、ガラッと対応が変わります。
例えば職場復帰できる能力は様々な工夫をすればできるのに、
職場としてはそれを受け止めないようなところもあります。
そうなると、患者さんに対してのリハだけでは不十分で、
患者さんの職場環境に対して、リハチームが一丸となって関わるべきです、
しかし、それでも難しいところはあるでしょうが…。