2017年04月28日

国家戦略特区

だいぶ久しぶりになってしまいましたが、

堤未果新書3冊シリーズ。

今回からは最後の3冊目「政府はもう嘘をつけない」の中から、

注目した文章をいくつか取り上げましょう。


【………「国家戦略特区」は、「この国の世界一ビジネスしやすい国にする」という安倍総理のかけ声と共に、日本国内各地を自由化し、企業向けの市場に変えてゆく政策だ。

 この法律自体が成立したのは201312月だが、その後政府は着々と法改正を繰り返し、すでに関西を中心に介護やベビーシッターなどの仕事は、特区内で外国人労働者を雇える方向で進められている。】


首相官邸ホームページに、国家戦略特区の説明があったので、

それをそのまま引用しましょう。

【経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点の形成を促進する観点から、国が定めた国家戦略特別区域において、規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進します。】


この国家戦略特区には、医療もいくつかあります。

その中から気になるのは、

医療法人の理事長要件の見直しです。

医師以外の者を医療法人の理事長として選出する際の基準について、

法令上明記した上で見直し、当該基準を満たす場合は迅速に認可するというものです。

2015年の7月に特区法で成立したものですが、

まだここに関しては手を挙げている地域はありません。


医療に関しては公益性の強い産業であることからも、

その医療法人のトップは公益性のことをある程度考慮できる人でなければなりません。

もちろん医師であれば必ず公益性を考えるのかという批判はあるでしょうが、

少なくとも医師以外のひとをあてたときに、

公益性の観点は薄れてしまい、経営に大きく偏った法人になる可能性が高まると考えています。


最近国家戦略特区で注目されているのは、獣医学部の新設です。

今まで認めてこなかったのが、昨年の1月に一校に限り特例的に設置認可の対象と出来る、ということになりました。

実際加計学園に獣医学部の新設が決まったのですが、この認可決定に大きな疑惑がでています。

2の森友問題とも呼ばれているようです。

加計学園へ選出した経緯が不透明であることや、

土地を無償提供、総事業費の半分96億円を補助金でだすなどの考えられないほどの厚遇ぶり、

日本獣医師会も大学部新設に反対だったのに強行(+首相と加計氏との家族ぐるみの親密な付き合い)などなど、

詳しい疑惑内容は別のホームページで検索してもらいたいのですが、

この事件だけをみても政府の国家戦略特区の意義は国際競争力の強化と言いながら、

もうブログ管理者は「嘘くさい…」と思ってしまうのです。


根本的な話に戻りますが、

国家戦略特区が企業向けの市場に変えてゆくという方向性を持っています。

ただあまり企業向けにすると質を大きく低下させる事業もあるはずです。

名前からしてなかなかいいことをやっているようなものに聞こえるかもしれませんが、

この国家戦略特区、厳しい目で見つめる必要があると思います。

posted by リハ技師 at 16:11| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 堤未果新書3冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月07日

情報隠蔽

最近ご無沙汰していた堤未果新書3冊シリーズ、

「政府は必ずうそをつく」という本から。


SRP原子炉事故が、実は「アメリカ史上最も深刻な事故の一つ」であったことを国民が知るのは、それから更に14年後のことになる。1988年にオハイオ州選出のグレン上院議員が議会公聴会で明らかにするまでの18年間、この事故に関する真実は政府によって完璧に隠蔽されていたからだ。】


このような原発事故の隠ぺいは、英国でもありました。

195710月に原発事故が起き(2基で火災)16時間にわたって放射性物質を放出したのにも関わらず、

当時の政府は避難命令もださなかったために、事故直後数十人が白血病で亡くなりました。

しかし、これが事故として明らかになったのは30年後だったのです。


最近の森友問題と同じ土俵で話してはいけないとは思いますが、

近畿財務局の森友との面会記録が一切のこっていないのは、

どうしても隠ぺいの臭いがぷんぷんしてきます。

財務局側は、規則で面会記録は1年未満の保存期間となっていることを盾にして、記録がないことの正当性を訴えています。

しかし、そもそもその規則がおかしい…。

面会記録が1年未満であれば、面会の次の日に処分しても問題になりません。

では本当に処分しているのかと思っていたら、

テレビ番組に出ていた元官僚の何人かは、官僚は少なくともかならず詳細なメモをとるはず、

何も記録がないのはありえない、とも述べています。

ブログ管理者には、わからない世界ではありますが、

やっぱり怪しいのです。


それだけではありません。

防衛省の南スーダン国連に参加した陸上自衛隊の日報問題も、隠ぺいがありました。

そもそも南スーダンの状況が政府軍と反政府軍が戦闘状態なのか否か、

そこに関して国会でも野党は政府に質問を投げかけました。

マスコミもどのような状況なのか追及、

派遣した自衛隊部隊の日報を公にするように求めました。

しかし防衛省はその日報は廃棄されたと説明、

更に11月に駆けつけ警護の任務付与を決め、先発隊を出発させたのです。

しかし同じ与党から日報のデータはあるはず、という強い要請を受け、

4日後に見つけたのですが、

なんとそのデータを発見したことを大臣に伝えたのは、その1か月後、

そしてマスコミに報告したのはそれから10日後です。

うーん、国会で大議論になっていたときに、その情報(日報)を出したくなかったのではないかと、

疑り深いブログ管理者は、そう思ってしまいます。


国のこの連続した隠ぺいは、何をものがたるのか、

皆さんも考えてみてください。

posted by リハ技師 at 17:44| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 堤未果新書3冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月17日

9・11と健康被害

最近ご無沙汰していた堤未果新書3冊シリーズ、

今日からは2冊目。

「政府は必ずうそをつく」という大胆なタイトルの本から。


20117月。アメリカ国立労働安全衛生研究所のジョン・ハワード所長は、「911とがんの関連性を示す証拠は十分ではない」とする報告書を提出した。

911作業員の1人で元警官の…は、この発表を「政府の棄民政策だ」として批判する。】


アメリカの911と言えば、まぁほとんどの人は知っているでしょう。

今までに例をみない飛行機を使用した多発同時テロで、全世界に衝撃を与えました。

その911の中で一番映像として出てくるのは、

世界貿易センタービルに飛行機が突っ込んでいくシーン、

そしてそのビルが倒壊していくシーンです。

救助隊はその中で必死になって様々な人の命を救っており、その勇敢な対応には頭が下がりました。

しかしその環境はあまりにも過酷!!!

救助隊は粉じんが舞う中、活動し続けたわけですが、

その粉じんの中に有毒物質があったのではないかとみる識者が多いのです。

(防塵マスクもせずに対応してしまったり、

当時のブッシュ大統領がきちんと調査することなく、「安全宣言」をしてしまったために問題が広がりました)

なぜそのようなことを言う識者が多いかと言うと、

上記のカッコ内の事実に付け加えて、

実際に健康被害を起こす人たち後を絶たなかったからです。

911ががんに関係しているかの因果関係を証明することは、

ブログ管理者も様々リサーチしてみましたが、なかなか困難のようです。

それはチェルノブイリの原発事故、また水俣病のように、

国が被害にあったかもしれない人たちへの、

初期時の大規模な健康・環境調査を実施していなかったことが大きいと言えます。

個人がそのことを立証することは現実的に難しく、泣き寝入りしてしまうことも多いかもしれません。

国はでは、なぜそのような調査を迅速に行わないのでしょうか、

うがった見方と言われるかもしれませんが、

莫大になる医療費を保障したくない、ということがあるのではないかと疑っています。

posted by リハ技師 at 18:38| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 堤未果新書3冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月22日

市民連合判決?

堤美果新書3冊シリーズ、

6回目。


今日も沈みゆく大国アメリカ<逃げ切れ!日本の医療>3章から引用します。


2010年に最高裁で出された、企業献金の上限を撤廃する「市民連合判決」は、コーポラティズム国家アメリカの、最終仕上げだった。】


なんだ、コーポラティズムって、言われそうですね。

これって、いろんな意味があるようですが、

この文脈だと、おそらく大企業による社会の支配、ということのようです。

次になんとなく名称的によさそうに思える「市民連合判決」、

しかし、上記の引用文にあるように、

企業献金の上限を撤廃した、というもので、かなり革命的な判決だったのです。

最高裁は54という僅差で上限撤廃にしたのですが、

その撤廃理由は、

衆国憲法修正第1条に定められた表現の自由に反する、というものでした。

この判決の何が革命的だったかと言うと、

この判決で「民主主義」というアメリカで大切にしてきた理念が壊れたと言ってもいいほどの判決だったからです。

このことによって政治家に無制限に企業から献金が入るようになりました。

当然企業は、見返りがあることを意図して献金するのです、

企業は利益を出すことが大目的ですから、企業としては当然の対応です。

そこで政治家がそのようなことはできないと突っぱねていけば問題ありませんが、

選挙に莫大なお金がかかる政治家は

(アメリカではCMで敵対候補に対してのネガティブキャンペーンを行ったりなど…)

現在の政治家を続けるためにはお金がどうしても必要になります。

ゆえにその企業のいうことを聞かざるをえなくなっていきます。

仮にそれでも突っぱねる政治家がいれば、

企業はその地元の敵対候補を支援していくなど、突っぱねた政治家を落とすための工作に動くこともあるのです。

もう、こうなるとどこの企業がお金をどれだけ出したところで政策が決まってしまうという、

お金で国の政策が決まるという、嘆かわしい事態になってしまいます。


医療系でそのような動きが強いのが、アメリカでは製薬会社なのです。

オバマケアでも、

薬価自己負担ゼロのメディケイドの受給条件を緩め、受給者を大幅に増やしました。

(メディケイドとは、身体障碍者やオバマ保険も変えないほどの貧困者を対象にした公的保険制度)

しかし、アメリカでは日本と違って薬価の価格を調整する機関がないために、

オバマケア以降、アメリカの薬価がどんどん上がっていったのです。

アメリカというと、オバマケアが入ったとしても、

自己責任の国だから国の医療費はそれほどないだろうな、と思っているあなた!!

それは違います。

OECD加盟国の中では、

医療費対GDP比率は、ダントツ1位なのです。

オバマケアになってもまだまだ医療費の自己負担は多いはずなのに、

国の医療費は世界一、

このことからもわかるように、

それだけ薬であれば11つの利益幅が大きいのです。


posted by リハ技師 at 19:30| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 堤未果新書3冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月10日

オバマケアの実態

堤美果新書3冊シリーズ、

5回目。


今日も沈みゆく大国アメリカ<逃げ切れ!日本の医療>2章から引用します。


【…、2010年に導入されたオバマケア。

 回転ドアをくぐり政府の法律設計チームに入り込んだ医療保険会社重役が骨子を書いたこの法律は、全国民に民間医療保険への加入を義務付けながら(無保険者は罰金)、保険料やその適用範囲、薬価の設定などには規制をかけないなど、医療複合体の利益を損なわない内容になっている。】


当ブログでは2010年のオバマケアが導入されたときは、

肯定的にとらえて紹介をしたことを覚えています。

いろいろな反対で骨抜きになった感はぬぐえないけれども、

医療改革の第1歩として評価する、というものでした。

しかし、もっと具体的に中身を見ていくと、

あの時に評価したのは間違いだったと反省しています。

なぜか?

まずオバマ前大統領はこの政策が上院・下院で成立するために様々な譲歩を行ってきたのですが、

その譲歩がかえって今までよりも医療政策としては後退していったのです。

まずオバマケア政策は病気などを理由に保険の加入拒否はできず、全員対象に保険に入れるようにはしましたが、

その分、企業がリスクを負うので、その利益を維持するためなのか、

保険料は値上がりし、安い保険商品も廃止され、

指定病院・医師リストを縮小して、実際に保険を使用して受けられる枠を狭め、

薬は相変わらず、企業の言い値で薬価を決めていく…。

また病院側も大量の書類とルールの厳格さ、そして利益にあまりならないことから、

医者側が診療拒否など、

ほとんどオバマケアは理念だけが高らかに歌われたものの、

実際にはあまり機能していなかった、という強い批判が同じ民主党からもでているのです。


もちろん無保険よりは、やはり一歩前進だ、という評価もできるでしょう。

しかし、世紀の医療改革、と将来に誇れるような改革ではなかったことは、

間違いないようです。

それだけ、アメリカは企業が政治を操れる状態になっていて、

オバマ前大統領も企業に対して闘ったのかもしれませんが、

結果としては敗れた状態だったのです。


今度のトランプ大統領はオバマケアを大批判しています。

そして政治経験のない企業トップ。

果たして、このオバマケアがまたどのようになっていくのか、

これにも要注目です。

posted by リハ技師 at 17:43| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 堤未果新書3冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月07日

米韓国FTA

堤美果新書3冊シリーズ、

4回目。


今日も沈みゆく大国アメリカ<逃げ切れ!日本の医療>1章から引用します。


【日本のように国民皆保険制度を持っている韓国が米韓FTAを結んだ時、韓国政府は不安がる国民に「皆保険制度は手をつけませんから安心を」と説明したという。

 だがそれは事実ではなかった。例えば米韓FTA内の、「医薬品許可―特許連携繁度(FTA18.9.5)により製薬企業は既存の薬にちょっとした変化を加えることで特許期間を延長し、安いジェネリック薬(後発薬)の市販を阻止できる。これによって韓国国民は高い薬を買わされ、財政を圧迫された公的保険はどんどん適用範囲が狭くなってゆくだろう。】


具体的に米韓FTAでは、どのようなことが決まったのでしょうか。

医療のところだけですが、下記のような内容が決まったのです。

・医薬品・医療機器等の規制等に関する透明性等について規定。

・医薬品・医療機器等に関する委員会を設置することについて規定。

・別途の確認書簡において,医薬品・医療機器の価格決定等を申請者の要請に応じて検討する独立の機関を設置することの確認についての規定。

・医薬品について,新薬の製造販売許可のために特許保護期間が不当に短縮される場合には,特許保護期間を調整することを規定

です。


上記だけをみると、「なーんだ、そんなたいしたことないね」と思う人もいるかもしれません。

しかしこれらの規定に関しては、必ず米国と相談して決める、と言うのがミソです。

例えば、情報の透明化、

私たちはなるべく情報がきちんと把握できるような仕組みであってほしいと考えます。

しかしTPPでも問題になりましたが、

遺伝子組み換えの表示は日本では義務化ですが、アメリカでは義務化されていません。

おそらくアメリカで表示義務化されないのは、

遺伝子組み換えが確実に体に悪いという証拠が見つかっていない、ということなのでしょう。

(ただし州によっては表示義務化になったところもあります)

そしてかえって企業の商品イメージを壊してしまう…、ということなのでしょう。

しかし、消費者には商品を選ぶという選択の自由があるはずです。


ここにその国によって表示のありかたにおいても、

大きく考え方が変わっていくのです。

しかしこのような国と国が話し合って統一化していく、ということは、

貿易としてはやりやすくなりますが、

その地域の人たちの積み重ねてきた歴史・風土を否定していくことにもなりかねません。

実際に特に11での2国間交渉では、アメリカのプレッシャーは相当で、

貿易で儲けている韓国としては、多くの様々な仕組みをアメリカ式にすることをのんでしまったようです。


韓国での医療の仕組みは、

韓国での様々な先人たちが築き上げていった仕組みです。

その仕組みをより良いものにするために少しずつ良くしていくことは大事ですが、

全くそのやり方を変えていくことは、

その国独特の問題に対して、果たして適切な対応なのかを問わなければいけません。


今回アメリカのトランプ大統領によって、TPPはなくなりましたが、

確実にTPP各国に対しての2国間交渉(FTA)が行われることは、

様々な報道から漏れ伝わっています。

アメリカファーストを強く訴えるトランプ大統領、

TPP以上にさらに厳しい要求を突きつけるでしょう。

その時に日本政府は、どう対応していくのでしょうか。

要注目です。

posted by リハ技師 at 19:54| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 堤未果新書3冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月03日

超高速 新薬承認??

堤美果新書3冊シリーズ、

3回目。


今日も沈みゆく大国アメリカ<逃げ切れ!日本の医療>1章から引用します。


80年代以降の規制緩和によって巨大化した製薬業界は、その膨大な資金力とロビー活動で連邦議会にどんどん圧力をかけていった。その結果90年代になると、アメリカは先進国一安全審査に時間をかける国から、先進国一承認スピードの速い国になっていた。

 さらに1992年には、薬の安全審査にかかる費用を、製薬会社がFDA(米国食品医薬品局)に直接支払う「処方薬審査料法」が議会を通過。】


現在よく聞くドラッグラグ、というのは、皆さん知っているでしょうか。

簡単に言うと、

海外で使われているくすりが、

日本で承認されて使えるようになるまでの時間の差のこと、を言います。

日本は承認に時間がかかるため、

以前から何とかならないのか、問題視されました。

ゆえにアメリカと比べて遅いと言われる日本でも承認スピードを速めるように言う人たちがいました。

しかしこの著書にも書いているのですが、

アメリカと比べれば遅いのですが、ヨーロッパ諸国と比べれば平均的な速さになっていて、

特別遅い、というわけではありません。

確かに外国で使用できるから、使用したいという気持ちはよくわかります。

しかしスピード以上に本当に効果はあるのか、

深刻な副作用はないのかなど、きちんと安全が確認できるのかはチェックしなければなりません。

比較されたアメリカは上記引用文にもあるように

製薬企業が政治家などに使用する献金・ロビー活動費用は、年々上昇し、

選挙でお金のかかる政治家は、その企業のいうことに「ノー」と言えない状況になっている、ということを留意すべきです。

ゆえに私たちは、

スピードが速いことが果たしていいことなのかを問わなければいけません。

これも総合的な判断が必要になってくるのです。


また引用文後半にある処方薬審査料法。

これは安全審査に関わる期間が限定されることになるものです。

そして迅速化してもらうので特別に企業はお金を出す、という仕組みです。


迅速化だけを切り取れば、確かに早くなり、新薬は市場に出ることができるようになりました。

しかしハーバード大学のCarpenterらの報告によると、

締切直前に承認された医薬品については,市販後に安全上の問題が生じやすい傾向にあるとの衝撃的な調査研究がでたのです。

もちろん1報告だけで断言はできませんが、

初めから安全審査にかかる審査期間を決めてしまうというのは、

審査の妥当性・信頼性を歪めてしまう一因になりうるでしょう。


ドラッグラグ解消の議論が今後も出てくることでしょう。

しかし繰り返しますが、スピードだけで判断してはならないことだけは頭の隅にとどめてください。

posted by リハ技師 at 20:10| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 堤未果新書3冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月26日

混合診療について

堤美果新書3冊シリーズ、

2回目。


今日も沈みゆく大国アメリカ<逃げ切れ!日本の医療>1章から引用します。


【政府は歯科を混合診療にした時、選択肢が増え、より多くの国民がやがて最新治療を保険で受けられるようになると宣伝した。

 だがふたを開けてみると、混合診療導入後、先端医療が保険に入ったケースは非常に少なく、代わりに公的保険でカバーされない高額治療が増えている。】


まず混合診療とは何か?ということを復習してみましょう。

そもそも日本の健康保険制度は、

健康保険でみることができる診療の範囲が限定されています。

しかし混合診療は、

健康保険の範囲内の分は健康保険で賄い、

健康保険制度範囲外の分を患者さん自身が費用を支払うことで、

費用が混合することを言います。

現在のルールでは、

混合診療の場合、健康保険制度の範囲外から費用を徴収すると、

その疾病に関する健康保険制度範囲内の費用は、自由診療となり、

全額自己負担になる、という仕組みになっています。


ここで素直になんで混合診療にしちゃうと、健康保険の分も全額自己負担になるの??

おかしいんじゃないの、という意見が出そうです。

実際テレビでの討論番組でもこの混合診療になると、

やはりこの公的保険全額自己負担になる制度はおかしいという意見が多数派になることが多いのです。

しかし、です。

この混合診療を認めてしまうと、公的保険診療対象(薬剤・機器)が狭まる可能性が高くなり、

ひいては皆保険制度の崩壊につながる可能性も危惧されるからです。

それは、なぜか。


それは公的な保険制度では薬価などの価格は企業が決めるのではなく、

国が決める、というところがミソです。

国が決める公的保険診療の薬価(類似薬のあるもの)は、

類似薬品比較、外国製品比較などをして決められます。

全く類似薬のないものは原価計算方式にはなります。

しかし健康保険制度範囲外の自由診療は、

企業が自由に価格を決められます。

つまり企業は勝手に利益が高く出る設定にもできるのです。

企業としては、国が抑制した薬剤価格より、自由診療にして利益率の高い薬剤にした方が儲けは大きいのです。

そして薬剤というものは、高くなったからといって、

その薬が本人に合っているのであるならば高くても買ってしまうものです、

高いから、いらないとは、なかなかなりません。


そうなると混合診療が認められれば、

企業はできる限り自由診療でやろうとして、

健康保険制度の範囲にその診療を入れていく、という流れにはならなくなってしまうのです。

実際に歯科診療では、冒頭の引用文にあるように、そうなっているのです。


こうなっていくと自由診療が大幅に増えていくでしょう。

そうなるし自己負担額が増えるので、

お金のある人しか医療は受けられなくなる、という事態になりかねません。

これこそ皆保険制度の崩壊と言っていいのだと思います。


次回も第1章から引用し、解説していきたいと思います。

posted by リハ技師 at 18:46| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 堤未果新書3冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする