2013年06月16日

生命倫理の問題

生命倫理シリーズ、
今回で4回目で最終回。
(保健・医療職のための生命倫理ワークブックから参照・引用)

生命倫理の問題
この章では下記の項目が挙げられています。

カルテ開示
医による危害
実験研究の倫理
優生思想
クローン人間
生殖操作
遺伝子診断・治療
臓器移植
安楽死・尊厳死
緩和ケア・ホスピス

様々な倫理問題が医療場面では広がっています。
皆さんの身近なところでもあるかもしれません。
ここでは優生思想を取りあげましょう。
『優生思想とは、人や人種に優劣をつけ、優れた形質を伸ばし、劣った形質あるいはその遺伝子の保有者を淘汰しようとする考え方です。』
この優生思想で有名なのはナチス・ドイツの例でした。
『ナチス・ドイツは、生きるに値する生命と値しない生命を根絶するために断種法を作り、安楽死政策を実施しました。』
このことでユダヤ人だけでなく、
多くの知的障害者・精神障害者も犠牲となったのです。

リハビリテーションにおいてこの優生思想は絶対受けいれられる思想ではありません。
リハビリテーションはノーマライゼーションを究極の目標にしているからです。
ノーマライゼーションとは、
障害をもつ人も持たない人も分け隔てることのない社会こそノーマルであるという考え方です。
別の言い方をすれば、障害を持つ人などの弱い人達がいてこそ、ノーマルの社会だという考え方です。

しかし別の分野ではこの優生思想は倫理的問題を抱えているのです。
例えば新型出生前診断。
妊婦から採取した血液で、ダウン症などの3種類の染色体異常がわかる「母体血胎児染色体検査」、
この検査で選択的中絶を認めてもいいのかどうか、
この問題は大きな議論になっています。

リハビリテーションにおいては、この優生思想の問題が出てくることはないとは思いますが、
しかし、倫理問題は、
小さな事であればリハビリテーションの周りで起きているかもしれません。
まずは、それに気づくことです、
しかしその気付きはかなりアンテナを高くしないと気付かないでしょう。
何が良いことなのか、何が正しいことなのか、その線引きはどのような基準で有ればよいのか、
その事を普段から考えていないと、
そのアンテナは高くできないかもしれません。


「保健・医療職のための生命倫理ワークブック」
何が本当に良いことなのか、この本はきっかけを与えてくれる本だと思います。
今日で生命倫理シリーズは終了ですが、
興味を持った方はこの本で継続して自分の考えを深めてください。
posted by リハ技師 at 16:19| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 生命倫理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月12日

生命倫理学の重要概念 インフォームド・コンセント

生命倫理シリーズ
今回で3回目。

生命倫理学の重要概念ということで以下の章名がでてきます。
インフォームド・コンセント
パターナリズム
(倫理委員会)
自己決定重視と共同体主義
功利主義と義務論
コンフィデンシャリティ(秘密保持)

ここではインフォームド・コンセントだけを一部引用します。
『この考えは、知識や技術が専門家のものであり、知識や技術の恩恵を受けるだけのクライアントには責任がないという従来の考えとは異なります。情報が多く、結果が不確実な場合には、その結果の影響を受ける当事者と専門家が共同で方針を決定し、その結果の責任も共同で引き受けるという新しい提案です。』

患者さんが主体的に病や障害に対して立ち向かうことは必要です。
ここではリハに限った説明をします。
リハビリテーションの多くは患者さんの生活を取り戻すことが大きな目標になります。
その生活の回復はリハ技師が行う訓練だけでは不十分です。
例えば「できるADL」能力が高くても「しているADL」ができていない場合があります。
この要因には患者さんの意欲の問題が絡みます。
それ以上に困難なのは「するADL」です、
病院ではまだその意欲は持てますが在宅では低くなりがちです。
リハ技師としては、そのために心理的支持も行いながら、
患者さんの意欲を高めるアプローチをしていく必要があります。
(患者さんの意欲が高くてもリハ技師との信頼関係が壊れていれば、
リハ技師の指導は全く伝わりません、
信頼関係が壊れている原因として、リハ技師の態度・コミュニケーションの仕方も大きいです)
そして患者さんが張り合いをもてる生活を提供しなければいけません。
そこがうまくいけば、
あとはリハビリチームがうまく患者さんと共に話し合いながら、
患者さんと寄り添いながら支持するのです。
そうすれば患者さんは病や障害に向き合う事が出来るのだと思います。

こう考えるとリハ技師は、
患者さんにきちんとコミュニケーションすることが大切だという意識を高くすることと、
患者さんの気持ちを変えるようなコミュニケーション能力をもつ事が大切です。
その上での専門知識・専門技術なのだと思います。
posted by リハ技師 at 21:21| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 生命倫理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月07日

倫理原理


生命心理シリーズ
第2回
(保健・医療職のための生命倫理ワークブック)
『倫理学は、この良いことかどうかを判断する基準は何か、また、どのように考えたらよいことかどうかを判断できるのかを研究する学問です』
『難しい問題を判断する模範となるのが倫理原理です』
上記の倫理原理はこの著書で4つ挙げられていました。
自立尊重(『当事者の意思決定を尊重』)
無加害(『人を傷つけない』)
善行(『人のために最善を尽くす』)
公正(差別しない)
しかし著者の作成したシナリオでこの4つの原理も状況によっては、
その原理を利用して判断することがかなり躊躇する、もしくは迷う場合があります。
なぜ躊躇する、迷う場合があるのかを知りたい方は、
この本を買って確かめてください。
最後に著者がこの躊躇する・迷う場合の解決法として、
様々な意見を持つ人と率直に話し合う事の大切さを述べています。

ブログ管理者も様々な異なる人の話を直に聞くことで、
(当然まだまだ未熟なのですが)
自分の視野を広げたと感じた行動がありました。
例えばブログ管理者の場合は、法人の教育委員会に10年近く経験してきました。
様々な職種と関わることができ、
飲み会では本音トークも様々聞くことがありました。
他職場での役割、労働状況、そしてその大変さ、
リハビリテーション部との比較、
その事によって、
全体をふまえた上でのリハビリテーションの位置づけを考えることができました。
また研修会で行う様々なグループワークも勉強になりました。
例えば全国レベルでどのような教育課題があり、どのような工夫をしているのかなどの情報共有、
自分の頭の中では浮かばない意見が出され、
自分の中に様々な選択肢がある事に気づかせてくれました。

リハビリテーション技師は、知識と技術を学べばいいというものではありません。
率直に様々な人と語り合うことが重要です。
そうしないとあたまでっかちで非常に偏った考え方をする人になってしまいます。

あなたは、そのような人になっていないでしょうか。
posted by リハ技師 at 18:10| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 生命倫理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月06日

倫理基礎

生命倫理シリーズ。
(保健・医療職のための生命倫理ワークブックから、参照・引用)

『ある事柄をよいと判断する理由や、判断の基準について考える学問として倫理学があります』
『このような、よいことかどうか、とっさに判断できない難しい問題に対して、すぐに判断してしまう事は危険です。難しい問題を考えるときには、できる限り広い範囲で、取りうる限りの選択肢を挙げて、その中で最も優れているものを、納得できる理由をもって選びます。普段から難しい問題を考える練習をしておくことによって、実際に問題が生じたときに、その問題を深く理解することができ、その時点で取りうる限りの行動を考えることができます。』

第1章の最後のところでまとめられた文章です。
ここでのポイントは、出来る限り広い範囲で、ということです。

ある問題が起きた時にその問題のみに簡単に賛同したり、反発したりすることはよくありません。
ブログ管理者も感覚的に許せない、と思う事はあります。

その感覚的に許せないは、当ブログでは原発でした。
ブログ管理者も「原発問題」を考える上で、
できるだけ脱原発反対意見を述べている本も参考にしました。
様々な知識・考え方を吸収することが原発の全体像を考える上で重要だと思ったからです。
そして幅広く本や記事を読みました、
地震関連、
世界における放射能被曝の歴史、
放射能とは何か
福島原発の歴史、
などを批判的に読みました。

このことで感覚的な問題の捉え方よりは、深く、そして全体を見極める事が出来たのです。

これは臨床でも生かすことはできるでしょうか。
例えば医療安全と拘束の関係です。
回復期リハビリテーション病棟に入院していて、
よく転倒する患者さんがいたとしましょう。
転倒する分析を行い、
あるリハ技師からセンサーマットを使用した方がいいのではないかという意見が出されます。
センサーマットはベッドから降りるところの足元に置いてあり、
そこに負荷がかかると音がなる仕組みです。
患者さんは足が降りてからたつまでに時間がかかる人だったので、
そのリハ技師は、センサーマットを提案したのです。
しかし、別のリハ技師がこれは拘束になるのではないかと言い始めます。
これがあることで起きると駆けつけて寝させるということを毎回させる、
センサーマットを使用するとこのような状況になり、
患者さんはストレスを感じてしまう。
そして精神的問題や認知症を出現、もしくは憎悪させてしまうのではないか。
だから良くないと………。
これだけの話だと、どちらの結論も、
悪い結果になってしまい、対応が立てられません。

しかし、
例えば転倒する時には何かきっかけがあったかもしれません。
そのきっかけが何か分かれば転倒を防ぐこともできるかもしれません。
例えば人恋しくて起きてしまうのであるなら、
(これも拘束と言われそうですが)時間帯によってはナースステーションにその人のベッドを置き、
時折看護師が寝ている患者さんに声をかけるというアプローチはできそうです。
排泄関連が原因であれば、排泄しそうな時間帯にリハを行うなどのアプローチもあるでしょう。
とにかく一つの現象にとらわれず、
幅広くその現象にまつわる様々な要素をじっくり吟味することが大切です。
(感覚的・感情的な対応は、真の問題を捉えることはできないと思われます。
またそのような対応は、その人の成長につながりません)
posted by リハ技師 at 15:55| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 生命倫理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月04日

生命倫理シリーズ開始

今日から開始、
生命倫理シリーズ、
ここで懸命なブログ管理者は「あれっ!!」と思ったでしょう。
前回はリハビリテーションにおける倫理を…と言ってしまいましたが、
大きく勘違いしていました。
生命倫理を基本的に学びながら、
最終的にはリハビリテーションにも結びつけて、という形にします。
申し訳ございません。
ネタ本は、
保健・医療職のための生命倫理ワークブック
本当によいことなのか、もう一度考えてみよう!!
三輪書店
吉川ひろみ
です。
吉川先生とは、当時群馬医療技術短期大学にいた時に数回ですが、
お話したことがあります。
記憶はおぼろげなのですが、
非常に明るくさっぱりとした性格だったような………、

この著書は多数のシナリオが書かれていて、
その質問に答えたり、他の人はどう思うかなどを想像しながら考える行為で、
倫理の勉強を深めるというスタイルをとっています。
この吉川先生のシナリオが秀逸で、かなり引き寄せられます。
(シナリオは引用せず、章ごとの結論部分の2〜3行程度の引用から、
毎回ブログ管理者の意見を述べる形にしたいと思います)

シリーズと言っても4回だけのシリーズになるとは思いますが、
倫理を少し勉強してもいいかも、と思ってくれるようなブログになればいいと考えています。

次回から始めます。
posted by リハ技師 at 19:18| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 生命倫理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする