新書の紹介。
なぜ皮膚はかゆくなるのか
菊池新
PHP新書
【どうして皮膚はかゆくなるのか?なぜかくと快感を得られるのか。最近になって解明されつつあるそのメカニズムをわかりやすく紹介。
体の中で掻けるところしかかゆくならない、「かゆかった」記憶からかゆみが復活する、ストレスが悪化させるといった特性のほか、これまでは「かゆみは軽い痛み」と考えられていたがそれが完全な誤解であることも解説していく。…】
(表紙扉にあるこの本の概要から引用)
この本、1章から4章まであるが、1章と2章がこの本の中核です、
当ブログではこの本の1章から気になったところを引用していきます。
【かゆみの原因物質として第一に挙げられるのが「ヒスタミン」である。】
第一として挙げられていますが、まぁ、まずかゆみといえば、これが原因物質のようです。
これは動物であれば結構普通にある化学物質で、普段は不活性でなんの症状も引き起こしません。
しかし、何かのきっかけで活性化すると「かゆみ」が生じてしまうのです。
【「かゆみ」は、この一番細いC繊維によって伝えられている…】
知覚神経で皮膚感覚を伝える神経は3種類あります。
Aβ、Aδ、Cの三種類があります。
Aβ繊維は神経も太く、有髄繊維になります、
C繊維は神経が細く、無髄繊維になります。
髄鞘は絶縁質であるため、
間にあるランビエ絞輪で発生した活動電位が髄鞘を飛び越えて伝わるため、
無髄のものに比べて伝導速度は速いです。
つまりC繊維の速度は遅いのです。
じわじわゆっくりくる感覚です。
また痛みのAβ繊維には、包丁で手を切った時に瞬時に手をひっこめる、というような脊髄反射があります、
しかしC繊維にはそのような反射はありません。
おそらく痛みの場合は命の危険性があるために、そのようなメカニズムがあるのだと思いますが、
まぁ、かゆみは、それほど急いで対処しなくてもいいということなのでしょう。
【…、かゆみは交感神経が有意な状態であっても、副交感神経が有意な状態であっても感じやすくなる。非常に精神的な影響を受けやすい感覚…】
つまりこれは、心の変化が、かゆみに大きな影響を与えている、ということなのです。
このブログを入力しているブログ管理者も、
なぜかすでにかゆくなっています、
情動を司る脳のある部位と「かゆみ」は関係があるのです。
【イッチ・スクラッチサイクルとは、「かゆい」⇒「掻く」⇒「掻いた部分が傷つく」⇒「傷ついた部分に炎症が起こる」⇒「症状が悪化する」⇒「もっとかゆくなる」⇒「さらに掻き壊す」⇒…】
よく言いますよねぇ。
かゆくても掻いちゃいけない、もっとかゆくなるから…。
実はこれ、理にかなっているんです。
人間の本能として、動く反応では正当性があるものが多いのですが、
この掻いてしまう、というこの行為は、
この場合は良くないんです。
他の2〜4章も非常にわかりやすく、ほとんどななめ読みをしたところがありませんでした。
この手のものは、難解になりやすいものなのですが、
この著書のわかりやすさは、なかなかです。
興味をもった方はどうぞ読んでください。