2013年09月18日

トラウマからの脱出

9月14日の番組、
ETV特集「トラウマからの脱出」
(このブログはナレーションから数多くを引用しています、
ご了承ください)

熊本3歳女児殺人事件、
容疑者は殺人や強制猥褻致死などの罪に問われました。
事件が起きたのは家族で訪れたスーパーでした。
容疑者は清水さんの娘をトイレに連れ込み、首を絞めて殺害、
遺体を排水路に捨てました。
今年6月、最高裁で被告を無期懲役とする刑が確定しました。
しかし、残された家族の心の傷は計り知れないものでした。
父親の清水さんは、娘の後を追って死のうとまで考えるようになりました。
死にたいという思いに繰り返しおそわれた清水さん、
心の傷、トラウマを受けた後に生じるPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されました。
その症状はつらい記憶が鮮明に蘇る再体験、
記憶につながることをさける回避、
不眠やイライラなどの過覚醒、
自分を責めたりする否定的な認知・気分などです、
清水さんもこうした症状に苦しんでいます。
清水さんは妻とともに大切な3人の息子を育て上げたいとの思いから、
今年4月、トラウマに焦点をあわせた治療をしようと決意しました。
その様子を撮影することに清水さんは同意したのにはわけがあります。
それは犯罪被害者の遺族が、
どれだけ深く心を傷つけられているかを少しでも多くの人に知ってもらいたいとの思いからです。
担当するのはトラウマ治療を専門にやってきた医師の仁木さんです、
トラウマの治療にはいくつかの方法があります。
今回医師が選んだのはEMDRという比較的新しい方法です。
アメリカで開発された機械はEMDRを行う際、患者の脳に刺激を与えるために使います。
まず、最初に医師は清水さんがもっとも苦痛を感じる記憶や感情は何かをさぐっていきます。
EMDRではカウンセリングをしながら眼球を左右に動かす、
手に振動を与えるなどの方法で患者に左右交互の刺激を与えます。
するとトラウマ体験の記憶に伴う強い苦痛が弱まっていきます。
その効果には個人差がありますが、患者への負担が少ないトラウマ治療法とされています。

一番最初に思いつく苦しい記憶は何かと問われた清水さんは、事件の日のある瞬間を思い浮かべました。
この時思い浮かんだ記憶、それは娘さんを犯人が潜むトイレの方へと送りだした場面でした。
トイレにいく娘さんを呼び止めなかった自分を心の中で責めていました。
それを思い浮かべた状態で清水さんに左右交互の刺激を与えながらカウンセリングを続けます。
清水さんは娘さんがあの時、一人でトイレに行けるようになったことが嬉しそうだったと思いあたりました。
思い浮かべることすら苦痛だった場面を娘さんの笑顔と結び付けて語れるようになっていました。
治療はその後も続いています。
5か月たった今でも、娘を失った苦しみは変わりはありません。
しかし不眠などトラウマが引き起こす症状は減り、休まず仕事に通えるようになりました。

トラウマとはいったい何なのか。
なぜトラウマは心と体に様々な影響を及ぼすのか、
半世紀近くにわたって世界のトラウマ研究を牽引してきた精神科医コークさん、
コークさんの研究の出発点となったのは、ベトナム戦争から帰還した兵士が抱えた心の問題でした。
戦場でトラウマを抱えた人が社会に適応できなくなる問題をはじめ、
自然災害や犯罪被害の生み出すトラウマに取り組みました。
しかしコークさんはこれまで注目されていなかったトラウマに気づきます。
多くの人を苦しめているのは日常生活の中で生じるトラウマだったのです。
コークさんらは脳科学の方法でトラウマとは何かを追い求めました。
トラウマ体験を思い出したヒトの脳では、
特に右脳の感覚や感情を司る部分が活発になっています。
この部分は危険にさらされた時に身を守るために働くため、
コークさんはサバイバル脳と名付けました。
サバイバル脳が活性化すると、
左脳の理性的に考えたり情報を処理する領域の活動が低下することも明らかになりました。
トラウマを負った人はその体験に触れるたびに、
サバイバル脳が興奮して体が緊張状態になると同時に思考力が低下します。
心と体に様々な悪影響を与えているとコークさんは考えました。
今年5月に発表されたアメリカの新しい精神科診断マニュアル、
PTSDの人は抑うつ症状や薬物依存を併発する割合が高くなると記されています。
トラウマと様々な心の病との関連に注目が集まっているのです。
トラウマが及ぼす悪影響の大きさが浮き彫りになる中、
様々なトラウマの治療法に注目が集まっています。
その一つEMDRの考案者で心理学者のシャピロさん、
およそ20年前、トラウマとなった出来事を思い浮かばせながら眼球を左右交互に動かすと苦痛が和らぐことに気づきました。
この現象を多様な症例に適応する方法が開発されてきました。
EMDRの効果を脳科学から裏付ける研究も行われています。
このPTSDの人たちの脳では左右の脳をつなぐ連合神経線維、
そして小脳が異常な興奮状態にありました。
EMDRを3回行ったところ、興奮状態が収まり、左右の脳の正常な連携も復活しています。
アメリカではEMDR治療の資格をもつ人は4000人を超えています。
しかし、日本ではまだ400人にも達していません。
トラウマを対象とした治療は他にもありますが、日本では受診の機会が少ないのが実情です。
今年WHOはEMDRを患者の負担が最も少ないトラウマ処理の方法として推奨しました。
今、世界の臨床の現場は大きく変わろうとしています。


ここまで番組の半分弱までの内容です。
ここから4つの事例が出され、EMDRの治療法が有効であることが報告されます。

さてこの番組の最後に10人に1人はトラウマで苦しんでいると報告されていました、
皆さんの中にもそのような人はいることでしょう。
このEMDRだけでなく、様々な治療方法があるようです、
そのような様々な対応ができるということにトラウマで苦しんでいる人は気づいてほしいと思います、
とにかく自分だけで苦しみ、悩まないこと、
これが本当は大切です。
しかしトラウマを抱いて苦しんでいる人は、このことを病気ととらえないで、
自分がどうしようもないから、このような症状になってしまったと思ってしまう傾向があるようです、
ゆえに自分だけで苦しみ、悩まないとは言いましたが、早速、前言撤回しましょう。
やはり自分を責め続けてしまうだけの対応になると思われるので、
周りの人が気づいて医療機関などを勧めた方がいいのだと思います。

皆さんの周りにはそのような人はいないでしょうか
posted by リハ技士 at 17:09| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 番組紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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