2012年07月24日

がれき “2000万トン”の衝撃

7月7日、NHKスペシャル
シリーズ東日本大震災 「がれき “2000万トン”の衝撃」

東日本大震災で発生した瓦礫(がれき)は岩手・宮城・福島、
3つの県でわかっているだけでも2034万トン、
これは私たちがかつて経験したことのない膨大な量です。
その内154万トンは海に流出し、今も漂流しているとみられています。
残りは1880万トン、
この膨大な瓦礫を被災地で処理しなければならないことになりました。
国は震災から3年以内に瓦礫を全て処理するという目標を示しています。
再利用・焼却・・埋め立て、この3つの方法で処理していく方針です。
しかし震災から1年4か月近くたった今でも処理が終わったのは、
全体の17.5%にすぎません。

三陸の海に面した岩手県大槌町は漁業の町でした。
しかし町を覆い尽くす瓦礫が復興に暗い影を落としています。
大槌町の復興計画では住民の安全を確保するためにまず防潮堤を作ります。
その後、津波で破壊された水産加工団地を再建し、経済を立て直す考えでした。
しかし瓦礫が邪魔をして計画は何一つ進んでいません。
かつての町の中心部、
防潮堤や解散加工団地の建設予定地にも瓦礫は山積みになっています。
なぜ被災地で瓦礫の処理が進まないのか。
処理するにはまず分別をしなければいけません。
しかし瓦礫の中には様々なものが入り混じっています、
津波が全てを巻き込み破壊した、東日本大震災の特徴です。
こうした瓦礫は中間処理施設に集められ、リサイクルしたものを除いた後、
燃えるものと燃えないものに分別されます。
コンクリートやアスファルトは粉々に砕いて資材として再利用、
鉄くずやアルミニウムなどの金属はリサイクル業者に売却されます。
木材は質の良いものは燃料用のチップなどに再利用しますが、多くは焼却処分となります。
大量の瓦礫を燃やすために岩手・宮城・福島の3県では、仮設焼却炉を新たに35作る計画です。
しかし本格的に稼働しているのはまだ11、建設が遅れています。
国が目標としている3年以内には処理が完了しない恐れがあるのです。
さらに厄介なのは土砂です。
小さな木くずなど分別しきれないものがたくさん混じっています。
このままでは再利用するのは簡単ではありません。
土木工事に使う土台などに使うと時間とともに木くずが腐り強度が落ちる恐れがあるからです。
多くは廃棄物として埋め立て処分しかありません。
しかし埋め立て処分場の数は震災前から圧倒的に不足しています。
新しい処分場をつくるには土地や資金、時間も足りません。
厄介な木くずが含んだ土砂をどう処理するのか、今も抜本的な解決策は見出されていないのです。
大槌町では震災前の人口の1/4、3800人が既に町を離れました。
税収も激減、町の存続さえ危ぶまれています。
瓦礫の山が小さな漁業の町に立ちはだかっています。
震災で発生した2000万トンの瓦礫、今も1500万トンが処理されないまま放置されています。
常に膨大な瓦礫を目の前にある暮らし、
震災で深い傷を負った被災者に追い打ちをかけています。
瓦礫を見るたびにつらい記憶がよみがえてきます。
瓦礫のそばでの生活が長引くことで健康への不安を募らせている人もいます。

瓦礫のない普通の生活を取り戻したい、被災地での切なる願いです。


被災3県の1880万トンの瓦礫、
このうち福島県にある201万トンの瓦礫は原発事故の影響で多くが手つかず放置されたままになっています。
残りの岩手・宮城の瓦礫は焼却施設を増やすなどして県内での処理を進めていますが、
全ての量を賄うのは難しいのが現状です。
そこで国はこのうちの一部、247万トンを被災地以外での自治体で受け入れてもらう、
いわゆる広域処理を打ち出しました。
しかしその広域処理、思うように進んでいません。住民の間に放射性物質への懸念があるからです。
国は岩手・宮城の瓦礫は安全性には問題がないとしていますが、
住民の側からは国の説明やそれを受け入れている自治体も信用できないという意見が挙がっているのです。
現在、広域処理は36の都道府県の自治体が被災地を視察するなど、具体的な検討をしています。
しかし試験的な受け入れも含め、実際に瓦礫の処理を行っているのは9つの都県にとどまっています。
こうした中、西日本で初めて受け入れることになったのが北九州市です。
予定ではその量は6〜7万トン、北九州市は住民の不信感とどう向き合い受け入れに至ったのでしょうか。
鉄の町として釜石など東北とつながりがあった北九州市、
瓦礫の受け入れに向けて本格的に動き出したのは今年3月でした。
議会は市に瓦礫の受け入れを求める決議をしたのです。
しかし傍聴の市民からは反対の意見が飛び交いました。
瓦礫の安全性に対する市民の不安を取り除くため、
北九州市は石巻市の瓦礫置き場を尋ね、独自に放射線量を図ることにしました。
さらに瓦礫の試験焼却も行いました、
焼却後の灰に含まれる放射能物質の濃度を確かめるためです。
結果は1kgあたり30ベクレル、
国が安全に処理できる基準としている8000ベクレルを大きく下回っていました。
市はデーターを公表することで市民の理解を得られると考えていました。
しかし焼却施設に最も近い地域ではほとんど説明もないまま試験焼却が行われたことに
不信感が広がっていました。
その不信感が広がっているおよそ8600人が暮らす松ヶ江南地区、
試験焼却から2週間、ようやく市長が出席した住民説明会が開かれました。
市のやり方は受け入れありきだとして不満の声が相次ぎました。
住民との対話を後回しにしたまま受け入れを踏み出そうとしたことが大きな溝を生んでいたのです。
地区の代表者たちは市にどのような要望を出していくべきか、会議を開き意見を聞きました。
話し合う中で住民の多くが瓦礫の受け入れに必ずしも反対ではないことがわかりました。
会議での結果から市に要望書を出すことになりました。
責任の所在を明確にするために絶対に譲れない一文がありました。
「万が一瓦礫処理により公害病が発生した場合は国か市が責任を取る」
住民からの要望を受けた市は何度も国と協議を重ねました。
国や市が放射能のデーターを示すだけでは住民の不信感を払しょくすることができない、
健康被害が出た場合の責任について明確にしてほしいと、繰り返し市は訴えました。
市が国と協議を始めて3週間後、
「健康被害があれば国が責任をもって対応する、市としても万が一そのようなことがあれば国に対して強く解決を要求していく」
市が万が一健康被害があった場合にもふみこみ、責任を明文化したのです。
松ヶ江南地区は瓦礫受け入れを認めることにしました。

このあと番組では、
漂流瓦礫がアメリカやカナダなどにも大量に運ばれてしまい、
国際問題にまで発展するかもしれない現状が報告されていました。

最後に番組はこう締めくくります。

“瓦礫が元々は被災地の人たちの大切な財産や生活の一部だったことを思うと、やりきれなさを感じてしまいます。しかし私たちは2000万トンと向き合って復興への道を進まなければいけません。
震災はまだけして終わってはいないのです。”


以前アメリカで最大級のハリケーンがあり、
その瓦礫が2年たっても処理できないという事実を知り、
このブログ(震災前のブログでした)で批判した覚えがあります。
ただその批判は日本にも向けなければいけません。
もちろん、その被害内容・量、そして今回は原発事故があるので単純には比較できません。
共通していると思われるのは、その復興に向けて政府の対応が両者とも、
とても最善を尽くしているとは思えない事です。
復興にはスピードが求められます、
なぜなら復興するまでに、
仕事がなければ、住むところがなければ、住民は他の地域に行くしかないからです。
住民の大きな減少で、地域崩壊につながる可能性は大なのです、
瓦礫処理の経緯だけをみても、その復興のスピードはやはり遅いと言わざるをえません。
本当に震災から3年後、これから1年半強で瓦礫処理できるのか、
政府のリーダーシップが本当は求められます。

広域処理問題の受け入れ反対問題も、根底には政府に対しての不信感があります。
信頼されるためには真実を隠さない(情報の透明化)事と、きちんとした説明をすることが必要でしょう、
また信用されていないので、今後の補償に関しても約束を交わさないと前に進まないことは肝に銘じる必要があると思います。
それだけしても、中にはただ受け入れるのは嫌だという感情論をもつ方もいるとは思いますが、
多くの人は上記の事をしっかり行えば瓦礫の受け入れを受け入れてくれるはずと私は信じています。

おそらく今年中に選挙があり、今後の政治体制は大きく変化していくことは間違いないでしょう。
しかし瓦礫処理、そして復興はどの政権になっても手を緩めず対応してもらいたい、
東北の復興なくして、日本の復興はありえない…、そう強く考えます。
(このブログは番組からのナレーションを数多く引用しています、
ご了承ください)
posted by リハ技士 at 13:21| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 番組紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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